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中庭にはいない
裏庭にもいない
図書館にもいない
教室にもいない
後はどこだ?
「冬矢、何をしているのですか?」
「和海、燕羽を見なかったか?」
「それなら先程ここに来ましたが」
「どこに行った?」
「それはわかりかねます」
「わかった、そろそろ寮に戻れよ」
「はい」
外に出て、寮に向かおうとしたら燕羽がベンチに座っていた
「燕羽」
「冬矢、どうしたの?」
「お前に謝りたかった、今まですまなかった」
「それはいいんだ、だって仕方が無い事だし」
「そうか、でもこれからは・・・」
「ごめんね、俺気付いたんだ」
燕羽は俺を見ず、真っ直ぐ前を見ながら言った
「えっ?」
「確かに冬矢の事を好きだったと思う、でもね」
「でも?」
「俺は弱い人間だからさ、傍に居てくれる人じゃないとダメだと思った」
「だからこれからは傍に」
「もう遅いかな」
「どう言う意味だ」
「俺、たぶん・・・ううん、きっと翔が好きなんだ」
「翔?」
「翔と一緒に居て色んな事に気付けた、友達ならときめかないと思うしね」
「翔は止めておけ」
「止めるも何も、想っているだけでいいんだ」
「だったら俺でも」
「冬矢は、優しすぎるから」
「それじゃ、ダメなのか?」
「優しすぎるから、恋人以外にも優しくする」
「和海は弟だ」
「それも理解してる、理解するのに放置され過ぎたみたい」
「燕羽」
「ごめんなさい、もう冬矢さんとは付き合えません」
そう言って、頭を下げた燕羽
これは夢なのか?
俺が・・・俺のせいか?
「もう、無理なのか?」
「もう心には別の人がいるから」
「・・・・・・・・・・・」
「こんな俺を愛してくれてありがとう、冬矢」
「わかった、すまないと思っている」
「ううん、もういいんだ」
夢では無さそうだ
翔はそれを知っていたのか
こうなる事も全て
「じゃ、帰ります」
「ああ」
もう、抱きしめる事は出来ない
後悔しても仕方が無い
俺が和海を選んだんだ
燕羽の気持ちは変わらないと、過信していた
一番馬鹿なのは俺だった
「冬矢?」
「・・・・・・・・・・」
「どうしたのですか?」
「いや、帰ろう」
「はい」
和海のせいではない
だから憎んではいけない
「そう言えば、燕羽は見つかりましたか?」
「ああ」
「そうですか」
夕陽が眩しい
だけど、滲んで見えるのはどうしてだ
「泣いているのですか?」
「夕陽が眩しいからだ」
「そうですか」
二人で歩いていると、燕羽と翔が寮の前に居た
「声を掛けますか?」
「いやいい」
楽しそうな燕羽、さっきの表情とは大違いだ
翔にはそんな笑顔を見せるのか
俺には見せた事が無かった笑顔だった
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