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次の日からダンスパーティーの練習を始める事にした
ダンスは得意だけど、生徒会は練習をすると繭が言い出したから仕方が無い
「生徒会のみなさんはお手本になるようにしっかり練習をして下さい」
繭・・・お前もダンスは出来るはずだろ
「楓、社交ダンスは?」
「わからないかな」
「じゃ、僕が教えてあげる」
「ありがとう」
嬉しそうな事でなにより
そもそもここに居る生徒はダンス位出来るだろ
「翔、私達も」
「わかってるよ」
差し出された手に触れる事も嫌なのに仕方が無い
「手を」
「ああ」
和海の手を取り、久しぶりにダンスを踊った
本当に嫌な奴
俺の事をリードするなんてね
「あっ、ごめんね」
「大丈夫ですよ」
わざと足を踏んでもその態度か
つまらない
「翔は昔からダンスが得意なはずなのに」
「そんな事忘れた」
「そうですか」
嫌な事を思い出した
昔、和海の屋敷でダンスパーティーがあった
俺は、ダンスが上手だったから最初に踊る事になっていた
そしていざダンスが始まった時、床に大量のワックスが塗られていた事に気付いた
気付いた時にはもう遅かった
俺は思い切り、足を滑らせて転んだ
そんな俺を見て笑う和海の顔を今思い出した
あれは、和海より俺の方が上手だった腹いせだと思った
悪魔のように笑う和海の顔
本当にムカついたし痛かった
「あの時は痛かった」
「何の話ですか?」
「何でもないよ」
「そうですか」
気付いているくせにムカつく奴だ
聞えて来る音楽も忌々しい
あの時と同じ音楽だしね
「ダンスがお上手ですね」
「和海には負けるよ」
「そんな事はありませんよ」
「あそ」
「少し休憩しましょう」
「うん」
「今、冷たい物を」
「ありがとう」
椅子に腰かけて、繭達を見つめた
楽しそうに踊る繭
楓も踊れるようになっていた
と言うか、最初から踊れたのでは?
「どうぞ」
「うん」
アイスティーを受け取り、和海を見た
「どうしましたか?」
「毒でも入ってるんじゃない?」
「そんな事はしませんよ、では私のを」
「冗談だよ」
今更、毒は無いか
アイスティーを飲みながら、髪をかき上げた
「何?」
「いえ、天使かと思い目が離せませんでした」
「あそ」
和海を夢中にさせるんだった
今思い出した
計画の為だ、仕方が無い
「和海の髪も伸びて来たね」
「そうですか?」
「うん、短くても綺麗な髪だね」
「ありがとうございます」
口から出て来る嘘ばかりの会話
自分が嫌いになりそう
「そろそろ戻りますか?」
「そうだね」
そして俺達は、踊り続けた
もちろん、笑顔でね
「翔は笑顔が一番似合っています」
その笑顔を失くした奴がよく言うよね
「ホント?ありがとう」
そしてまた、嘘を吐く
その時、繭が床に置かれていた缶を蹴飛ばした
「嘘だろ?」
液体に足を取られ、思い切り転んだ
またあの時と同じかよ
でも、痛くない
「大丈夫ですか?」
和海は俺の下敷きになっていた
それを見た繭は笑っていた
悪魔は繭だろっ!
「ありがとう、和海こそ大丈夫?」
「私は大丈夫です」
「どこも痛くない?今日はもう止めよう」
「そうですね」
「座ろう」
「はい」
こうなる事を確かめたかったのか?
記憶は戻ったはずなのに、俺を助けた和海
気持ちは本当だと言う事なのか?
「怪我はしていない?」
「はい、翔が無事でよかった」
「和海」
「本当に怪我はしていませんので」
「うん」
と言う事は、和海は悪魔だけど本当に俺が好きだと言う事?
じゃ、もっと俺を好きになってもらわないとね
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