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生きていて楽しいと思える日が来るとは思わなかった
俺は、毎日和歌が来るのを待つようになっていた
「おはようございます」
「ああ」
「では検温を」
「熱は無い、朝ご飯は食べたのか?」
「いえ、僕食べるより寝ていたいので」
「そんなにこの仕事は大変なのか?」
「好きな仕事なので大変だとは思いません」
「本当に?」
「でも、忙しい時は疲れる事もあります」
「そうか」
和歌は看護師の仕事が好きなのか?
いつも、疲れた顔をしているが・・・
「和歌」
「はい」
「これを食べろ」
そう言って用意させたサンドイッチを差し出した
「これって、人気のお店のやつでしかも高いやつですよね」
「それは知らないが」
「いつも、僕ばかりいただけません」
「じゃ、捨てろ」
「もう!冬矢さんはいつも同じ事を言う」
「いらないんだろ?」
「いただきます!」
そう言って、美味しそうに食べる和歌の顔を見つめた
「すごく美味しいです」
「そうか」
「はい」
和歌とずっと居たい
そんな事を考えていた
「聞いてもいいか?」
「何ですか?」
「この仕事が好きだと言ったな」
「はい」
「もし俺が、お前を雇うからずっと傍に居て欲しいと言ったらどうする?」
「えっ?」
「ここを辞めて、俺専属の看護師になって欲しいと言ったら?」
「それは・・・・・」
やはりダメか
だけど、無理強いはしたくない
和歌は大切にしたいと思ったし嫌われたくはない
「すまない、考え込ませてしまったな」
「いえ・・・突然すぎて驚いただけです」
「そうか」
サンドイッチを食べ終わり、和歌が言った
「でも、嬉しいです」
「えっ?」
「僕もずっと傍に居たい・・・です」
「それは本心か?」
「もちろんです、でも冬矢さんが雇い主と言う事は、僕の上司になるようなものですよね」
「そうじゃない、俺が傍に居て欲しいから」
「どうしよう、嬉しいです」
「だったら傍に居ろ」
「はい」
少し照れたような表情で頷いた
「じゃ、明日からは私服で来い」
「わかりました」
「時間は、10時ぐらいでいい」
「そんなに遅く?」
「俺は寝ているし、起こされたくはない」
「わかりました」
「必要な物は揃える」
「はい」
こうして、和歌は俺専属の看護師になった
これでずっと傍に居られる
「取り合えず、給料は前払いでいいな」
「えっ?」
小切手を取り出し、適当な金額を書いて渡した
「ちょっ!こんなにいただけません」
「必要経費込みだ」
「それにしても多すぎます」
「じゃ、美味い物でも食べに行け」
「それでも余ります」
「じゃ、お前が居たいだけ傍に居てくれ」
「わかりました、冬矢さんが眠るまで傍に居ます」
「好きにしろ」
「好きにします」
そもそも、看護師の給料なんて知らないし
俺は和歌がいればそれでいい
「退屈ならDVDでも観ますか?」
別にどうでもいいが、和歌が観たそうなので返事をした
「お前が観たいのでいい」
「じゃ・・・これにします」
「ああ」
和歌が選んだのは、動物が出て来る映画だった
「隣で観ろ」
「はい」
ソファーに腰掛け、一緒に映画を観た
和歌は感動して泣いていた
俺は、映画より和歌を見ている方が楽しかった
「ごめんなさい、泣いちゃった」
「和歌は優しいな」
そう言って、指で涙を拭った
「あっ・・・」
「すまない」
「いえ」
この時感じた
確かに燕羽に似ている
しかし、この感情は似ているからでは無い
俺はこいつが好きなんだと確信した
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