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思っていた通り、次の日和海は学園には来なかった
和海なら、なぜこんな状況になったのか調べるには一日もあれば十分だろう
俺達はそう思っていたけど、少し和海を甘く見ていたようだ
みんなでランチを食べていると、今まで見た事も無いような表情をした和海が俺達に近付いて来た
和海の視線は繭に向けられていた
「貴方はやはり私を苦しめる事しかしない」
そう言って繭の胸ぐらを掴んだ
馬鹿な和海、もう少し芝居に付き合ってやってもいいと思っていたのにね
「離せ」
楓が和海の手を掴み、睨みつけた
「狂犬を飼っていた事を忘れていました」
「何が気に入らない?」
「何が?知っているくせに」
「わからない」
和海が拳を握りしめていた
さすがに繭に怪我をさせるわけには行かない
「あのさ、和海」
「翔は黙っていて下さい」
「いや、黙れないね・・・だって冬矢を殺したのは俺だから」
その時の表情も滑稽だった
「何故、翔が・・・」
「何故?お前頭大丈夫か?冬矢は死んだと俺達には伝えておきながら、こそこそと植物状態の冬矢を無理矢理生かすなんて、でも死ぬ事それが冬矢の希望だろ?・・・なのにお前ときたら無理矢理生かして苦しめて、自分がよければそれでいいとかどうかしている」
「私は、冬矢の為に」
「ほら、また偽る嘘を・・・何が冬矢の為だ、冬矢の会社の為だろ?」
「・・・・・・・・」
「でも残念だったね、冬矢の会社の株はほとんど繭が所持している、その意味が分かるだろ?」
「繭・・・・繭ーーー!」
「繭には触れさせない」
殴りかかった和海を投げ飛ばした楓
馬鹿みたいに強いじゃん
「せいぜい、今持っている会社に気を付けるんだな」
「まぁいいでしょう、来週は繭の誕生日ですし」
「そうだな、待ち望んでいたんだろ?」
「もちろんです」
「繭の屋敷でパーティーを開くから来いよ」
「はい、必ず」
制服の埃を掃いその場を去った
冬矢がどこに眠っている事も聞かずにね
「繭、ごめんね」
「ううん、楓を信じていたから」
「そっか、楓も悪かった」
「平気」
楓はこれからも繭を護り続けるだろう
それを見て安心した
もう、俺がいなくても繭は大丈夫
「今頃、和海は必死になって大物に連絡を取ってるんだろうな」
「遅い、僕が全て丸め込んだ」
「お前ってホント怖いよなー」
「翔ほどでは無いけど」
「俺のどこが怖いんだよ」
「・・・・・・・・・・」
「繭?」
「最近読めない翔の心」
「ばかだな、俺は昔と同じだよ」
「・・・・・・・・うん」
「とにかく、繭の誕生日パーティーは豪華にやろう」
「わかった、楓も来て」
「俺なんかが行ってもいいのかな」
「来て」
「でも」
「来て」
始まったぞ
繭の攻撃
繭はもう、世間に知られてもいい覚悟があるみたいだ
親族以外の人間を屋敷に居れる事、イコール繭が認めた奴と言う事
繭にとって、楓との関係が世間を騒がせても大した事が無いと言う事か
「楓、繭の誕生日だぞ?」
「そうだね、わかった」
「来る?」
「行くよ」
「約束」
「わかった」
二人の指切りを見つめ、微笑んだ
二人の絆は本物だ
後は、誕生日を待つだけだな和海
長かったよ、燕羽を奪われてからの日々はね
地獄の中をさ迷っているみたいだった
それがもうすぐ終わるんだ
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