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パーティーの後、楓の様子がおかしかったから問い詰めた
やはり和海が消えた時点で気付くべきだった
楓は何かを知ったいたけどきっと翔に口止めされていたのだろう
「繭」
「学園へ」
「・・・・・・・・・」
「僕より、翔を優先したの?」
「そうじゃない、俺は翔の気持ちを優先したかっただけ」
楓は悪くない
だけど、嫌な予感がする
「繭、傘を」
「必要ない」
車を降り、翔を捜した
寮にはいなかった
生徒会室にも音楽堂にもいない
後は・・・
「楓、翔はどこ?」
「俺にはそこまではわからない」
「塔がまだだ」
「取り壊したんじゃないの?」
「翔が作り直してた」
「・・・・・・・・・・」
雨が強く頬に打ち付けた
冷たくて痛い
暗い道をひたすら歩いて塔を目指した
「翔ーー!」
「繭、あそこ」
「和海・・・・」
和海が笑いながら塔の上から下を見ていた
「和海、何だかおかしくない?」
「・・・・・・・・・・」
狂っているように見えた
でもそんな事はどうでもいい
急いで、塔に近付くと赤い水たまりが広がっていた
「翔?・・・・嘘だよね」
白いスーツが赤く染まっていた
和海に突き落とされたのなら絶対許さない
「翔、しっかりして!」
抱き上げた翔の胸からは赤い血が流れていた
「和海ーー!!」
「違うよ、繭」
「楓、離して」
「翔は自分で胸を刺して落ちたんだ」
「どう言う事?」
「和海を一番苦しめる事を翔は実行した」
「殺す事じゃないの?」
「和海があんな風に狂ってしまう程の事は何?」
「・・・・・・翔」
「そう、翔は和海から自分を奪ったんだよ」
「どうしてそんな・・・やっとこれから二人で」
「翔は、燕羽といたかっただけ」
「待っていたと思う、繭の誕生日をね」
「・・・・・・・・・・・」
「全て相続したのを見届けてここに来たんじゃないかな」
「僕の為に今まで翔は我慢していたの?」
「違う、翔は繭を弟のように愛していた、でも翔には燕羽がいない毎日が耐えられなかったんだろうね」
「相談してもくれないんだ」
「相談したら止めるでしょ?」
「もちろん」
「俺は偶然に知っただけ、翔の気持ちがわかるから何も言わなかった・・・本当は止めたかったよ、でももし俺にも同じ事が起きたらと考えると止める事は出来なかった・・・すごく辛いけどね」
「楓は翔が死ぬのをわかってて何も知らないふりを?」
「そうだね」
「僕はどうしたらいい?」
「俺が憎いなら殺してもいい、繭を裏切っていたんだしね」
「そんな事は出来ない」
「こんな俺はもう愛せないでしょ?」
「それもわかっていて黙っていたの?」
「そうだね、翔の辛さがわかるから」
「それで自分が不幸になっても?」
「仕方ないと思うよ、本当にごめんね」
僕を騙した・・・・
楓が僕を・・・許せない・・・でも愛してる
「俺は繭の傍にはいられない・・・許してくれなくてもいい」
「・・・・・・・・・・」
楓がいなくなる?
きっと二度と会えなくなる
そんな予感がした
楓が歩き出そうとした時、ズボンの裾を握りしめた
「繭?」
「楓のせいじゃない」
「えっ?」
「だってほら、翔は笑ってる」
確かに翔は笑っていた
全てをやり切って安心したようにも見えた
「だから楓、お願い僕を一人にしないで」
「繭、俺は繭の嫌いな嘘をついたんだ」
「そんな事どうでもいい、楓が僕の事を好きなら傍に居て・・・消えないで」
「俺を許してくれるの?」
「楓は何もしていない、僕がそう決めた」
「・・・・・・・・・」
おねがい、もう誰もいなくならないで
悲しいのはもう十分
「楓」
雨が降っていてよかった
涙も雨で誤魔化せる
こんなに取り乱したのは初めてだった
楓だけは失いたくない
「そばにいるよ、そんな顔を見せられたらどこにも行けない」
「ホント?」
「うん」
「取り合えず、翔を」
「そうだね」
繭は翔を抱き上げて、歩き出した
待たせてあった車に乗り、ヘリポートに向かった
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