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自殺
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Side 紅葉
昨日は頭がおかしくなって拓麻に縋り付き、気がつくと私は家で寝ていた。
「迷惑かけてばっかりね私。ピッチがわからなくなって部活もバンドも碌にできないし、不安定になっていろんな人に迷惑かけちゃうし。いない方がいいんじゃないかしら」
そうよ。いなくなればいいんだ。
そう思うと自然に体がお風呂へと動いた。
剃刀はある。我が家では1人1つ剃刀を持っている。自分の剃刀を持ち浴室へ行き、浴槽の栓をし、お湯を出す。これであとは血管に沿うように深く切ればちょっとの痛みで楽に死ねるはず。
剃刀の刃を持ち、サクッと腕を刺し、スーっと滑らせる。するとプクーっと血が滲んでくる。
気持ちいい。世の中のリストカットをしている人たちはこんな快感を得ているのね。
溜まったお湯に切った腕を浸す。これであとは時間の経過と共に血が大量に流れていって死ねるはずだ。
思い返すと私の人生ってそんなに人に自慢できるようなものじゃなかった気がする。父が大きな病院の院長で、ちょっと家が裕福だった。だから望むものは全て手に入った。ただそれだけで、才能にも恵まれていた私は特に努力をすることもなく過ごしてきた。
ただ、それでも楽しいと感じることは多々あったし、幸せだと感じることも沢山あった。例えば幼馴染み達とワイワイしている時。楽器を演奏している時。大好きな数学の問題を解いている時。家族と一緒にご飯を食べている時。そしてみーくんといる時。ふとした瞬間に私は幸せを感じていた。
思い残すことは沢山ある。私が死んで悲しむ人がいるのもわかっている。わかっていてのこの行動は多分質が悪いだろう。
だけれど、この、今の状況に耐えきれない。睡眠薬を飲まないと眠れないくらい不眠に悩まされ、学校に行けば嫌な思いをし、部活に行くとピッチがわからなくなって周りに迷惑をかける。
もうこんなの嫌だ。それなら消えた方がマシ……。
なんだかふわふわしてきた。もうすぐ死ぬのかしら?眠たいわね。
みんな……おやすみなさい……バイバイ……。
みーくん……大好きよ……。
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