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迷惑かもしれないけど
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僕は昔から自分の気持ちを伝えるのが苦手。
人前で発表するとなるとなおさら。
でも、僕は作文とかを書くのは得意だった。
先生にもよく褒められたりしたものだ。
そんな僕が1番苦手な事を今からしようとしている。
「えっとですね…えっと…」
「ゆっくりでいいよ。永遠君の思ってる事を聞かせて」
やっぱり先輩は優しい。
僕の事を気にかけてくれる。
「僕、この前俊と先輩が仲良く歩いてる所を見て2人は付き合ってるのかな?って思ったんです。
本来なら普段から仲良くしてもらってる先輩と幼馴染の2人が付き合ったって事はめでたいのに素直におめでとうが言えなかったんです。
今となればほんのきっかけだったんですけど、
初めて屋上に来た時に先輩と話してそこからずっと一緒にサボっていたじゃないですか?」
先輩は相槌を打ってくれている。
「その後僕が風邪をこじらせてしばらく休んでた時も先輩の事しか頭に思い浮かばなくてずっと悩んでたんです。
僕はてっきりこんな数いる後輩の事なんてほんの数日一緒にいたくらいだから忘れられてるって思ってました。
僕はそれが酷く悲しかった。
でも、俊が先輩と会ったって。
そして先輩から僕に伝言を預かったって。
“待ってる”って言ってくれてその言葉がどれだけ嬉しかったか。
その時に“あぁ。僕、先輩の事好きなんだ”って思いました。
でもね、僕は男で先輩も男だから…
すっごく悩んだんです。
伝えても未来は無いかもしれない。
そう思ったらとても怖かった。
でもこの想いを封じたまま次には進めないって思いました。
だから僕はもうここに来れなくてもいいと思っています」
もう迷いはない。
僕は今日ちゃんと伝えるんだ。
「先輩、僕、先輩の事が好きです。
はっきり気持ち悪いって言って軽蔑してくれて大丈夫です。
変に情けとかかけられるよりは全然ましなんで。
もう僕と話したくない顔も見たくないって言うならもう目の前に現れないようにします。
先輩は男の人にもモテて告白された相手とはもう一緒にはいないって事は前に聞いたんで知ってます。
だから…だから……だから………
ごめんなさい。今まで仲良くしてもらってたのにこんな形で終わらせる風になってしまって」
僕はもう先輩の顔を見れない。
先輩の軽蔑しきった顔を見る事ができない。
「ねぇ、どうして“終わる”“振られる”前提なの?
俺の話は無視なの?」
「でも先輩男からの好意は気持ち悪いって」
「そうだね。でもそれは好みじゃなかったから。
永遠君は違うよ?俺ね、ってか俺の話も聞いて?」
「はい…」
一体何を言われるんだろう。
「…ふぅ……その前にさ」
ん?なんだろう
「顔上げてくれない」
先輩の優しい声に僕はつられて顔を上げた。
そこには軽蔑しきった先輩ではなく優しい笑みを浮かべる先輩がいた。
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