アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
…
-
……………………
リビングに怒鳴り声が響いた
「バカ者!!!お前というやつはっ!!
俺の子供じゃない!出ていけ!」
父親からは殴られた…僕は泣きながら謝った
後悔した
あの時ちゃんと薬を飲んでいたらっ…
「……もう、水瀬家は終わりだわ…」
母親は嘆き悲しむ
両親は家の事しか心配していない
こんなのいつものことなのにこの時は物凄く悲しくなった
「なんとか学校の方はお金で口封じできたが噂が広まるのも早いだろう…
ほんとっお前には失望したよ!」
父親は頭を抱えて嘆いた
「ごめんなさいっ…ごめんなさいっ…」
僕は泣いて謝ることしかできなかった
「相手のお子さんにもご迷惑お掛けしたわ…もうどうしましょう…
このまま結婚させるしかないのかしら…」
母親は息子の心配より世間体を気にしていた
「あちらは確か国会議員の息子だったかな…
はぁ…家柄はいいが…周りの目がな…
うちの息子がΩだとバレてしまう……。」
父親は大きなため息をして眉を潜めて話す
僕はただ黙って聞いていることしかできなかった…
「αは何人も番できるから相手には恭弥のこと忘れてもらいましょう…
まぁΩは番になった相手しかいないけど…
恭弥には永遠に1人でいてもらいましょう…
発情期がきても1人でなんとかしなさい!
番を作ったΩはその番のαにしか発情しないし、止められない…1人で発情期を乗り越えるのは相当大変らしいそうよ、すべてあなたの責任よ」
…その通りだった
αは番は何人でもできるがΩにとっては番αのみ…
そのαから離されるということは1人で毎月くる発情期を苦しまなければいけなかった
あぁ…すべて自分で招いたこと
僕が悪いんだ…
「そうだわ!あのお祖母様の家にでもやりましょ?今はいないから1人暮しできるでしょ?
生活に困らないくらいのお金はたくさん渡すわ」
母親は口に手を抑えながら提案した
「ああ、それがいい…
お前は高校はあっちの名門にでも通いなさい…
ただしαとしてな!
お前はもう番にしか発情しないから周りには迷惑かけないだろう…
俺が手続きしておいてやる。
周りには怪しまれないように病気が酷いから田舎に住むということにする」
母親の意見に父親は納得したように大きく頷いて
αとして生きろと言われた
他の人には発情期で迷惑かけないからある意味都合が良かった
とにかく代々受け継がれてきた名家にあってはならない不祥事
「はい…本当に申し訳ありませんでした」
僕は深々と泣きながら土下座をする
「早く部屋に戻りなさい…顔も見たくない」
父親は追払うようにそっぽを向いた
母親は少しだけ心配している
やはり自分の生んだ息子だからだろうか
僕はその場を立ち去った
部屋に戻りベッドに横たわり、
静かに声を殺して泣いた
これからはずっと1人で生きていかなければならない…
寂しくて、死んでしまいたい気持ちでいっぱいだった…
僕に残ったのはこの首筋に残る噛み跡だけだった
そこにそっと触れると熱をもっていた…
身体が火照ってくる…
彼には迷惑をかけてしまった…
ただの優しいクラスメイトだったのに…。
そういえば彼の名前も覚えてない…
中学卒業まではこっちにいるだろうけど
話もできないだろうな…。
もう二度と会えないと思うと苦しくなってくる…
今まで何とも思ってない名前も知らない相手でも愛おしく感じてしまう…。
これが番になった代償なのだろうか……
これから僕はどうなってしまうんだろう…。
不安でしかなかった
毛布を被りぎゅっと膝を抱え中で丸くなる
寂しさで涙が溢れ出た
…………こう……くん………
心の中で彼の名を呼ぶ
少しだけ気持ちが救われたような気がした
………………
リビングは静まりかえっていた
すると急に廊下の扉が開き、恭弥の妹の麗華が入ってきた
「お父様、お母様どうなさっのですか?」
恭弥とは瓜二つな1つ年下の麗華
彼女は立派なα、2人には愛された
「あら、麗華…
うるさくしちゃったわね、
起こしてごめんね、何でもないの…気にしないで!」
αの娘には優しくした
この夫婦にはこの子さえいればいいのだろう
「…お兄様が何かしたの?」
麗華はひっそりと微笑む…
口元が緩むのを抑えながら良い子を装う
油断すると笑いたくなるほど愉快だわ
麗華は心の中で喜んでいた
昔から兄が嫌いだった
幼い頃は兄だけが可愛がられていた
それは家系に生まれた大事な男だったからだ
麗華は幼い頃はまったく愛されもせず、
皮肉に育った
いつも兄のことが恨めしかった
あの日の
検査結果がわかるまでは…
兄がΩだとわかった途端に兄を突き放し、
両親は麗華を可愛がった
あの兄の絶望した顔がたまらなく嬉しかった
今思い出しても笑いが止まらなくなる
ざまみろ…これは愛情を独り占めした天罰よ
もっと苦しむといいわ!!
麗華にはの心の中はドス黒い感情しかなかった……
両親は少しだけ戸惑いつつも優しく頭を撫でてくる
「お前には関係ない事だ…気にせず寝てなさい」
父親は微笑んで言った
母親も微笑んで見つめてくる
この笑顔ほんと胸糞悪い…
「そう、わかったわ…
おやすみなさい…お父様、お母様」
麗華はニコッと笑顔を貼り付けてリビングを去る
その後少しだけテーブルに座り話し合いをして、父親も母親も自分の部屋へと戻っていった
……………………
クスッ…
「ふふふ…いい気分だわ…
あいつなんて消えればいいのよ…」
リビングを出てぼそっと呟く
麗華はウキウキしながら自分の部屋へと戻った
人生何があるかわからないわね♡
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
9 / 16