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"迎えの者"が来るまで手持ち無沙汰な奏汰は、それを紛らわすように空を見上げた。
澄み切った綺麗な青空に、うるさいくらい太陽が白く輝いている。
眩しすぎる太陽から逃げるように瞼を伏せ視線を下げれば、これまで登ってきた山道と森が視界いっぱいに広がっている。
辺鄙なところに来てしまったという後悔が強いが、外国とは違うクリアーな空気が肺に染み込んできて気持ちがいいのも事実だった。
標高はそこそこ高めなのか、5月中旬のこの時期でも暑くなく、長袖の制服でも問題ないようだった。
チュンチュン、と小鳥のさえずりが聞こえたかと思うと、森の中から1、2…3羽、カラフルな小鳥がこちらに飛んできた。
鞄を持っていない右手の人差し指を出してやれば、1羽そこにとまり、あとの2羽は左肩と頭にとまった。
指にとまった黄色い小鳥に頬を擦り寄せると、対抗するかのように左肩にとまった小鳥も首に擦り寄ってきてその柔らかさとくすぐったさに思わず笑みがこぼれた。
人差し指の小鳥も右肩に乗せ、ここに来るまでの疲労を吐き出すかのように深く息を吐き出した。
自分と同じく肩と頭で休息をとる小鳥の邪魔をしないよう、軽く頭を動かし横目で門の中を窺い見た。
"迎えの者"はまだ来ないようだ。
頭を戻してそのまま目を閉じ、しばしこれまでの経緯を振り返ることにした。
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