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出会い
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腰が痛い...。
クラスに入りに"そぉっ"と椅子に座る。
そんな俺を見て、同じクラスの紺くんが
「どったの〜?腰押さえて。あ、もしかして...」
「しー!!あーあー!」
「う、うるさいよ〜!腰痛なの?」
な、なんだ...そっちか...。
バレたかと...ヒヤヒヤしながら机に突っ伏している蒼くんと男子と喋っている祐希を見る。
当のふたりは、ニヤニヤとこっちを見ていて殴りに行こうかと思ったけど、やめといた。
「実くん...?」
「え、あ...よ、腰痛だよ。」
「もうその話は終わったってば!」
もうっ、とくすくす笑う紺くんはどこか違う方を見ていたような気がしたけど、瞬きして紺くんを見やれば僕の方を見てきょとんとしていたから、見間違いだろう。
「あの、紺くん...実でいいよ?同い年だし。」
「え?あー、実...みの...りん!みのりんって呼ぶね。」
みの...りん?
「え、なんか女っぽいなぁ...。」
「だ、め...だよね...。」
「い、や!ダメじゃないよ!んじゃ、僕は...紺...でいい?」
「うん!呼び捨て嬉しい!みのりん改めてよろしくね!」
「うん!」
そういうと、紺は友達の証といって僕に某キャラクターの黄色のくまさんのストラップをくれた。
そして、席を立って教室の外へと向かっていった。
「実ちゃん、実ちゃん。」
後ろの席に座った蒼くんが"今日このクラスに転校生くるらしいよ"ってこそこそ教えてくれた。
男の子で、どこかの御曹司って言うのは噂で広まってるらしくてクラスの女の子どころか学校中の女の子が気合入れてトイレは行列だったって。
現に隣の女の子もメイクだとか香水だとかですんごい匂いがきつかった。
「実ちゃん、こっち向いて?」
「ん...?っ...んぁ。」
すっと、蒼くんの方に向き直るとちゅとリップ音が、響いた。
顔が真っ赤になった音がした。
幸い教科書で隠してくれていたから大丈夫だったけど...。
「実ちゃん、浮気だめだよ?」
「う、浮気って!誰とも付き合ってないから浮気って言わないし...必ずしも相手が男が好きとは限らないし、僕が男なら誰でも...じゃないから...!」
「分かってるよ...。」
なんで、そんな...傷ついたような顔するの?
僕にはわからない。
蒼くんのさっきの顔に後ろ髪を引かれるような思いだったけど、それは女の子たちの黄色い歓声によってかき消された。
トントン、と肩を叩かれて蒼くんの方を向くと、
「今日、放課後残って?」
と小さな声で言われた。
なぜだかドキドキと心が鳴ったような気がした。
窓の外を眺めていると、ふいに女の子の歓声が止まり多々の視線が突き刺さったような気がして、それに重なるように影が一つ。
「おい女。」
女...?あー、もしかして隣の女の子のこと気に入ったか?と思いながら"まぁ、僕には関係ないけど"ってそのまま窓の外を見続けていると...
「...俺様を無視した...だと?...いい度胸じゃねぇの?」
あー、女の子無念。
と思っていたら、急に僕の机の前に顔が現れた。サラッサラの黒髪に吸い込まれそうな目と口を三日月のよう歪ませた俗に言うイケメン。
転校生だ。
「女、やっと気づいたか。」
「...は?女じゃないんだけど。」
女。そのワードが僕に向けられて、ピキピキと僕の何かが音を立ててヒビが入ったのがわかった気がする。
小さい頃から女、女、言われてきた僕からしたら一番怒りの篭るワード。
「御曹司くん...それ、口にしちゃダメだよ。」
後ろで蒼くんが呟いたような気がしたけど、僕には何を言ったのか聞こえなかった。
「僕、男だけど。誰でも、女に見えんの?あー、小さい頃から女しか見えてねえとか?...取り敢えず、前言撤回してよ?」
相手の胸ぐらを掴んでそう言い放つ。
皆驚いたようだった。
こんな容姿からは想像できないという驚きか、はたまた...御曹司になんてことをって言う驚きか。
大半は、前者だと思われる。
「あぁ...怒らせちゃった?」
「どんまい。」
「は、え?みのりん?」
なんかムカつくなぁ、このまま授業なんか受けれる気しないから、適当にぶらつこうかと思っていると、
「お前、誰にもの聞いてる?」
「は?あんた。もしかして、何。自分が一番だと思ってんの?馬鹿みたい。滑稽だね。」
男が、ククッと笑ったような気がして
「何笑ってんの。」
男を見上げると、
「気に入った。放課後生徒会室に来い。」
「はぁ?放課後は蒼くんと用事あるから無理。それに、部活に顔出さないといけないし。」
「いいから来い。」
そう言い切って、自分の席についた御曹司を俺は睨む。絶対行かない。蒼くんの用事譲れないしとそう心に決め、席にドカッとついた。
第一印象...最悪。
女の子達の反応は、何喧嘩売ってんのよとかいい身分だな!とかよく言ったとか様々だったけど恨まれてはいなかったからよかったよかった。
女の子たちの話によると、某大手家電会社霧島グループの霧島逢郁。出たコンクールは1位や優勝。できない事はない。才色兼備。眉目秀麗。玉の輿。双子がいるだとか。双子は生意気な方で頭がいいから見下してくるとか兄を嫌うとか...なんでそんな事知ってんだろ、こわ。
でも、名前には似ても似つかない。
聞いたことがある、郁は春の花の郁子(むべ)という名前に使われているから春を連想させて暖かいという意味合いだとか。
逢 も、ゆったりって意味合いだし...。
んー、ないな。
そんな事考えているとあっという間に放課後で、僕は教室で蒼君を待つ。
「お、実?誰か待ってんの?」
「あ、祐希。あのね、蒼くんに話あるって言われてんの。」
「1人だと不安だから来るまでの間一緒にいてやるよ。あと、話終わったら部活こいよ?」
「うん。」
そんな話をしながら、2人で蒼くんを待つ。
タッタッタッと足音が聞こえてドアを見据える。
「あ、ごめん...。遅れた。」
なにか期待したように蒼くんを見ると、制服をはだけさせた蒼くんが息を切らしたように教室に入ってきた。どこかイラついているようだ。時々舌打ちが聞こえる。
「あ、あ...蒼、くん...?」
「蒼...?実待たせといて、女か?」
祐希の顔が怒りに染まる。
「い、いやいや、蒼くんにも事情あったんじゃ?話聞こう。」
「お前、女と遊んできただろ。」
「あ、そんでねぇよ。」
言葉が詰まっているような気がした。
「あ、でも...蒼くんが誰と遊んでも僕達には関係ないと思うんだよね。うん。」
「待ってろって言われたんだろ?なぁ、蒼。実がお前のためにずっと待ってるなんて思うなよ。」
行くぞ、と声をかけられて...ぐいぐいを腕を引っ張られる。
あんなことを言ったけど少し放心状態だった。
もう、僕...わかんない。
ーーーーーー
「クソッ...」
出ていく実を横目に動けない俺に嫌気が指す。
それと同時にさっきまで一緒にいた女の事を考える。いたじゃねぇ、いさせられたか。
"蒼ぉ、しよ?"
そう言われて、俺は即答で断った。
けど、いつの間にか制服のシャツははだけていて、女は苦虫を噛んだような顔だった。
「ごめんなさい、嫌わないで...ッ。命令なの。」
命令、?
「...逢、郁様...。」
「どけて?」
威圧をかけていうと、いとも簡単にどけてくれた。
怯えたような表情で。
俺は、あの御曹司のせいで、実ちゃんまで失うのかよ...。
「なんなんだよッ、」
近くにあった机に怒りをぶつける。
今更ぶつけても意味ねぇのに。
ーーーーーーーーー
「祐希、痛い、離してッ!」
振り払うように祐希の手を離す。
「あ、ごめ...。」
少し気まずくなり体育館へと急ぐ。
「あ、久しぶりです。実先輩。」
「久しぶりです!!」
目の前の双子が僕にペコペコと頭を下げる。
未だにどっちがどっちなのか区別がつかない。
「んぁ、赤いピンが葉月で、青ピンが樹? 」
「違いますよ。俺が樹です。」
「僕が葉月です!」
赤いピンが樹、青ピンが葉月らしい。
どうにもわからない。
あ、でも区別できるとすれば...
「樹だっけ、唇の下にホクロがあって...葉月が目の下にホクロ、か...なるほど。」
「覚えてやれよ?」
そう言って祐希は僕の頭をポンポンと撫でて、そのまま友達のところにかけていってしまった。
あ...。
正直な話、この二人と一緒にいたくはない。
頭に浮かぶあの時のこと。
思えばあの時から、僕は変わってしまったのか...?
考えても仕方ない。忘れよう。
練習しようと、シャツを脱いでいると...扉の前に人だかりができて...。
げ、あいつかよ...!!
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