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⑦
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数秒間、お互いの目を見つめ合う。
高遠は檜山の顔をまじまじと凝視した。男前だ、憎たらしいくらいに。
「ひ、檜山先生……どいて下さい」
高遠は檜山の胸をそっと押した。
すると、檜山はゆっくりと高遠の顔に自分の顔を近づけた。
「まっ……! 檜山先生、ちょっと!」
首をねじり、顔を反らす。しかし、檜山はぐいっと高遠の頬をつかんでこちらを向かせようとする。
「い、嫌……ッ! 嫌やってぇ! やめろやぁ……ッ!」
「高遠先生、今の状況わかってます?」
「は……」
高遠は横目で檜山を睨み付けた。それを受け止める檜山も高遠を冷ややかな視線で射抜く。
なんだ、なんだよ。
こんな怖い檜山先生、見たことない――
「先生、オレに犯されるかもしれへんねんで……」
そう言う檜山の瞳は何故か曇っていて。今にも泣き出しそうな、苦い顔をしていた。
何故だ。何故、檜山は無理矢理自分を犯さない。
こうして今、高遠を無理矢理にでもどうにか出来る有利な状況なのだ。
なのに、何をためらっているのだ。
お前は僕のことが好きなんやろ――
「――……なら、やってみぃや」
試してやる。
「な……ホンマにいいんですか、あんたは」
「出来るなら……どうぞ?」
その瞬間、檜山の顔はみるみる内に青ざめていった。
絶句して言葉も出ないといった様子だ。過呼吸にもなっている。
その様子に、高遠は怪訝そうな顔をした。
「そうやって……他のやつにも同じように言うんですか」
「え……」
檜山は高遠の腕を掴む力をぐっと強めた。めりめりと皮膚が悲鳴をあげる音がする。血管が押し潰されそうだ。
眉間にしわを寄せて続ける。
「もしまたオレ以外に犯されそうになっても、――あんたはまた同じこと言うんですか!」
そう言い放った瞬間、檜山の双眸からは涙が溢れ出ていた。
ぽたぽたと高遠の頬に落ちては伝い、まるで高遠が泣いているかのようであった。
檜山は高遠の頬を伝う、自分の涙を親指でそっと拭った。
「そんなこと、言わんといて……。お願いですから、オレ以外には……ほんの少しも、許さんといて」
微笑を浮かべる檜山に、高遠はどうしようもなく――欲情した。
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