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Side孝彰、4
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孝彰の部屋は何も無いと言っていいが、ファッション雑誌とCDは多い。
家に帰ってまで、仕事の事を考えたくないのだが、姉の文香が時々来ては『勉強しろ』と言わんばかりに置いていく。
その中には自分が出ているものもある。
それらを棚に片付けていると、携帯が鳴った。LINEだ。
いつもなら、すぐには開かないのに、今日はすぐにチェックする。相手にアテがあった。
有生だ。
『おはようございます。今日は13時にお邪魔します。陸がとても喜んでいます。ではまた後で』か......うーん...よし。
『有生は?』っと。......何て返すかな。
それはすぐに既読になったので、そのまま携帯を見て待ったが、どれだけ待っても返信は来ない。
「......何を迷ってるんだか、早くおいで」
と言いながら、画面をつつく。
そこから更に15分くらいたった時に返事は来た。
『僕も喜んでいます』...んー......これのどこを考えていたのかな、有生は。
そう思うと、可笑しくなった。
(じゃあ......これは......どう?)
『有生と陸君に会えるのがとても待ち遠しい』
『待ってるよ、早く会いたい』
(...ふ......有生の真っ赤な顔が目に浮かぶ)
イタズラを仕掛ける子供のように、2つを続けて送った。
またすぐに既読になるが、なかなか返って来ない。
「何を躊躇っているのかね、姿が見えなくてもわかり易い子だな。本当に可愛い」
(あ、可愛いといえば......)
孝彰は、昨夜の神の杜での有生を思い出した。
露天風呂へ出てすぐ、彼の好きな大浴場を見た瞬間、孝彰は少しの間、瞬きを忘れてしまった。
全身を外に出し、有生は岩の上で涼んでいた。
両手を後ろに置いて上半身を支え、片足の膝を立てて寛ぐ姿。
顔は空に向けていた。
湯気が立ち込めるその向こうで、有生のその姿は、天使が羽を休めているような、幻想的な光景で、そこだけ時間が止まっているような気がした。
普段は可愛いのに、その時の彼は...とても綺麗で艶めいていた。
そう感じた時、胸の奥が押されたように息苦しくなった…...
その時、受信音が鳴った。
画面を開けて孝彰は笑う。
「うん、上出来。有生」
そこには『僕も早く会いたいな』と書いてあった。
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