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桐生家の風習
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吸血鬼にはとある風習がある。
吸血鬼は元人間が多い妖怪だが、中には吸血鬼の両親から産まれた生粋の吸血鬼がいる。しかし、性交以外でも同族を増やす事ができる吸血鬼故の弊害か、生粋の吸血鬼の子供達は精通や排卵が自然と起こらない。性欲でさえも希薄である彼等は、年長者に導いてもらい快楽を知る必用がある。それがきっかけとして彼等は射精や排卵が出来るようになり、性欲が生まれるのだ。このやり方は各家で違う。家長が導く家があったり、個人でパートナーを探す家、姉妹兄弟で教えあう家等様々だ。桐生家は十五歳の赤い満月の晩にソレを行うと決まっていた。恋人や許嫁がいればその人物と、居なければ専属の使用人が行う事になっている。
そして、今晩はその日。
桐生家の屋敷の中にある寝室。爽やかな青草の匂いが薫る畳の上に敷かれた布団の上。白い襦袢だけを身に付けた公彦は、目の前でうら若き乙女のように震えている主に困り果てていた。
「宗之助様。これはお兄様方も通った道です。怖がる必要はございません。注射みたいな物です。少し我満して、サッと出せば良いのです」
「わ、分かってるよう」
「ならば、いざっ」
その言葉に、公彦は気合いを入れて自分の帯をほどき襦袢を脱ごうとする。そんな彼を見て、宗之助は顔を真っ赤にして悲鳴をあげる。ちなみに、宗之助が着ている服は水玉模様のパジャマであり、ちゃんとナイトキャップも被っている。
「ダメダメダメダメダメ!」
「何故です?宗之助様は私が嫌いですか?」
「違う!でもぉ、公彦のお尻の穴にボクチンのオチンチンなんかを入れるなんてできないよ。そ、そんなことしたら公彦のお尻壊れちゃうよ!」
「・・・・・・宗之助様、少々表現をお控え下さい」
あけっぴろげな宗之助の言葉に、頬を赤くして俯く公彦。この度の儀式は儀礼的な物で、深い意味はない。感覚的には、イスラム圏等で行われている割礼のような物だ。老婆からその価値観をシッカリ植え付けられている公彦には嫌悪感はないし、相手は宗之助である。幼い子供の成長を手助けする事は純粋に嬉しいが、流石に今からする行為を包み隠さず言われるのはキツい。主が騒ぐので襦袢を着直した公彦は、深く溜め息を吐いた。
「ボクチンはエッチなことなんてしたくない!」
生粋の吸血鬼である宗之助が、自分の種族の儀式に此処まで拒絶するのには理由がある。宗之助が喚く断片的な情報を整理すると、どうやら総司がアレコレ吹き込んだらしい。
総司の家は自由恋愛の風習の家で、尚且つ吸血鬼には珍しく、産まれる子供達は一様に性欲が強い。だから、最上橋家の子供は一様に性に早熟であり、それに加えて情熱家で恋人を大切にすると言われている。
その価値観を植え込まれてしまっているのだ。性交は恋人とするべきだという価値観を・・・・・・。
確かに、五男である宗之助は自由な立場だ。自由恋愛をする相手がいるならば、公彦は応援する。だが、誰もいない今は公彦が相手をしなければいけないのだ。この儀式を失敗すれば種無しの疑いがかかり、宗之助の名に傷がつく。必要に迫られた事なのに、彼は頑として拒絶する。予想するに、総司の猥談で性交自体に恐怖を持ってしまっているようだ。
「ううう、こんなのおかしいよぉ。好きな人としかやっちゃダメなんだよう」
「はいはい、そうですね」
宗之助の有り様に溜め息をつきそうになる公彦であったが、不意にピコーンと閃いた。そうだ、性交が嫌ならしなければ良い!抱かれる必要はないのだ。極論ならば、アレを出させれば良いのだ、出せば。公彦は提案する。
「それならば、口や手でやりましょう!口か手で!」
「公彦がそんな事言っちゃ駄目ぇぇぇ」
名案思い付いたり。
良いこと思い付いたと言わんばかりに、手をクイクイと動かしながら明るく提案する公彦を見て、更に涙目になる宗之助。名案を拒絶され、落ち込む公彦の目にも涙が滲む。
このままでは、宗之助様は自分のせいで種無し認定されてしまう。それは主家に対する恥となり、役目を果たせない自分、ひいては蒼頭家に無能の烙印が刻まれる事となる。
あれなのだ、一度でも経験してもらえれば良い。そうすれば満足させられる自信はある。
なにせ蒼頭家は使用人を輩出する家。房術の手解きは嫌と受けている。誰かに汚された体を主家の方に捧げる訳にはいかないので、体は前も後ろも未経験だ。だが、口淫や手淫は張り子を相手にして学んだし、後ろを十分に解し腰を巧く動かせば、相手に快楽を与える事は幾らでも可能だ。それは、まあ、イロイロやって実証ずみである。
そう、自分の技術に自信はある。あとは、主の覚悟次第であるのだ。
……仕方ない、やるか。
公彦はなにかを覚悟し、ぐっと拳を握って立ち上がった。
「少々席を外します。が、宗之助様お逃げにならないように」
屋敷から出た公彦は肩に半纏を掛けて屋敷の裏に移動する。そこには、様々な雑用具をしまう納屋が建っていた。納屋にはいった公彦は、整理整頓された中を漁り、とある物を探す。それは蒼頭家秘伝の淫酒。河童の嘴やツチノコの干物等を精製した強力な淫酒を使えば、宗之助もガッツリとなるだろう。
「よしっ!」
様々な箱を漁り、ようやく目当ての物を探しだした。酒瓶を片手に持った公彦がガッツポーズをした瞬間、彼の意識は深い闇の中に遠退いてしまった。
「じゃあ、お願いしますね先生」
遠退く意識の外で、総司の声がして体を誰かに持ち上げられた気がした。
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