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歩いて転んでドキドキキャンプ!3(聖夜side)
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朝早くに起きたこと、バス移動と少しの山登りで結構体は疲れていたこと、それから創が頭を撫でてくれるのがあまりにも気持ちよかったというこの3点により夢の世界へと旅に出かけてしまっていたのだけれど、体をグワングワンと力強く揺すられると流石に目も覚めてしまう。
大きなあくびをして呑気な態度を取ってしまっていたのだけれど、創がやけに騒いでいる。そんなに慌てなくてもどうせ一本道。この後の行程も頭の中に入っているので特に問題はない。
と、思っていたのだけれど、どうやらそうもいかないらしい。雨が降ってきた。流石に目も覚める。
慌てて飛び起きれば荷物を創に持たせているという事にも気付かずに走り出す。
視界は雨によって遮られ、泥水が足に飛んで気持ち悪い。全身びしょ濡れの上にさらに雨が降り注ぐものだからもう気にもならなくなっていた。
とにかく走って、走って、走って。今はエラいだとか考えることもできないほどにひたすらだった。
それがいけなかったのだろう。
ぬかるんだ道、しかも舗装されているとはいえ山道だ。そこで走ればどんな危険があるのか、ということを考えられていなかった。
水に濡れた落ち葉を踏んでしまい、足の力がうまく地面に伝わらない。世界がスローに感じる。変な風に左足に体重がかかったせいでピキッと痛む足首。上手く受け身を取ることもできずにそのまま補導された道から外れた林の中へと転がっていく。
体全体に伝わってくる衝撃。頭を守ることに必死で手で頭を覆って、だけどそのせいで木の枝によって手が傷つけられていく。痛い。きっと血も流れているだろう。それでも止まることなく転がり続けて、そして一本の木の幹に止められた。
『ヴッ…グエッ……ッ!…』
強い衝撃が背中からお腹に突き抜ける。口から唾液が出るも雨によってすぐに洗い流されてしまった。
でも顔も足も、全身が傷だらけ。痛い。あと、寒い。
ズキズキと痛む左足。捻挫してしまったことは確実だ。折れてはないと思う。
『ゲホッ……ゴホッ、ゴホッ…』
咳き込むだけで肺が痛い。死ぬかと思った。いや、寧ろ死んだと思った。
一体どれくらいの距離転げ落ちてきたのだろう。顔を上げても雨が世界を見せてはくれない。
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