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日々青春。2(創side)
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『わぁ〜、いいなぁ〜。僕も綾人氏のご飯食べたいっぽい』
身を乗り出して聖夜の貰った弁当を見る若葉。よだれを垂らして羨ましがる様子に少し疑問を抱く。
だってこんなにも"普通"な弁当なのだ、特別美味しそうにも見えないし、変わったものも入っていない。何をそんなに羨ましがるのだろう。
失礼だけど、それが俺の見解だった。
卵焼きを聖夜から分けて貰った若葉は嬉しそうにそれを食べている。楓も聖夜に頼んで2個あるうちの1個の唐揚げを自分の弁当の蓋に置いて貰った。
これまた不思議だ。だって楓の弁当の方が豪華だから。ご飯は白じゃなくて炊き込み。しかもチラチラと見えているあの茶色いものは何だ、松茸だ。
しかもおかずもかなり豪華で、人参なんて花形だ。食べなくてもそれがどれほど"美味しく"て"豪華"なものなのか分かる。
そんな楓が欲しがるなんて、一体どういうことなのだろう。自分の弁当よりも1個の唐揚げの方が嬉しそうだ。
『では、早速。いただきま…』
『ちょい待ち!……かえっちー、ウチの唐揚げは食べれやんけどリンちゃんの唐揚げは食べるってことか?』
『はい、そうですよ』
『ウチの唐揚げよりもリンちゃんの唐揚げの方がええってこと!?』
『はい、そうですよ』
『うまいーッ!っぽいーッ!』と悶絶後の叫びを上げている若葉を無視して繰り広げられる唐揚げを巡る戦い。だが、楓は強かった。
海の説得も虚しく唐揚げを頬張る楓。何故だろう、こんなにも食べたい気持ちになってしまうのは。
『ん〜ッ、美味しいです。さすがですね、綾人。美味しすぎて頬が取れてしまいます』
『あー!一口で食べたー!ウチも食べたかったのにぃー!』
どうやら海も唐揚げを食べたかったらしい。先程から楓を止めていたのはそういう意味だったのか。
それにしても、その一見"普通"な唐揚げに何故そこまで拘るのだろうか。…気になる。
先程までの心の余裕は何処へやら、今は唐揚げが食べたくて仕方ない。この唐揚げには特別なことが施されていると言うのだろうか。
『なぁ、そんなにうまいンか?』
『あっ、鈴野君知らないんだっけ?じゃあ……はい。食べてみなよ』
聖夜の弁当箱にある残りひとつの唐揚げ。それを今さっきまで使っていた箸で掴んで、そして、口元に持ってきて…えっ、これってまさか間接キス!?そんな、心の準備もできていないというのに急すぎる。
一気に緊張してきた。聖夜からの"あ〜ん"。寝ているときに夢で見て朝ニヤケが取れなかったことがある。それが何の前触れもなく始まってしまうというのだろうか。
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