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転入しますがお気になさらず。3
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「深角君の執事は随分とお若いんですね」
「はい、俺が小さい頃父が友人役も兼ねて雇ったんです」
「へぇ。ただの主人と執事という関係ではないんですね」
大方の案内が済んだので、僕達はエレベーターに乗り込み理事長室へ向かっている。
赤い絨毯が敷かれた玄関ホールに入ってからこの金で装飾されたエレベーターに乗るまで僕の思う“学校”像は悉く裏切られた。
今まで画面や紙を通して見てきたものと同じだと考えるのは愚かしいようである。
とはいえ、僕には通い慣れた校舎というものは無いため不都合は無いし、寧ろ心なしか自宅と似た雰囲気が感じられて多少緊張が解けていた。
「俺は主人として彼に接しているつもりは全くないです。彼のことは兄のように思ってます」
「そうなんですか。彼も貴方をただの主人だとは思ってなさそうでしたね」
「そうですね......弟のように思われているかもしれないです」
「...そうですか」
おや?
今花菱さんの声色に何かがちらついたような......。
その時、チンと音がして扉が開いた。
「着きましたね」
花菱さんはそう微笑むと何事もなかったかのように行ってしまう。
特に詮索する必要性を感じないので、僕も気にしないことにする。
理事長室は長い赤絨毯の廊下の先に構えていた。
「理事長、深角さんをお連れしました」
ノックをした後花菱さんが声をかけると、聞き馴染みのあるお声がした。
「入りなさい」
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