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雨宿り
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のどかな田園が広がる田舎。
青々とした稲穂を強い風が撫で付ける。
すこし湿ったような匂いに灰色の曇り空。
──あぁ。雨が降ってくるじゃないか
今日はお隣さんが、引っ越して来るって言うのに・・・
季節は梅雨。日本独特の四季で、雨が多くなるのは仕方がない。
けれど今日ぐらいは晴れてほしかったなんて思う。
朝の仕事を終えた帰り道。バスに乗ろうと、いつも利用する古びた小屋付きのバス停まで歩く。ガラッと立て付けの悪いドアを開けると、この辺では見慣れない人がいた。
僕は気にもとめず中にある椅子に座ろうとする。しかし、予想外な事に
「ミズキさんですよね?」
なんて声を掛けられた。
近所で僕の事を"ミズキ"なんて呼ぶ人はいない
「あの、僕ミズキじゃなくて・・・」と言おうと相手の顔を見るとハッとした。
「貴方もしかして"サエキ"さん?」
さっきまで、見慣れない人だった彼は見覚えのある青年に変わった。
────────
田舎での暮らしにも退屈していた高校時代。
必死にバイトして貯めたお金とバック1つで電車に飛び乗った。
なんのあてもなく。
ただ逃げる様に。
結局行き着いたのは東京で、ぶらぶら歩いていた所を"サエキ"さんに声をかけてもらった。
いや、馴れない都会で挙動不審にしていたのを保護してもらった?方が正しい。
同い年というのもあって、2人はすぐに打ち解け本当に初めてあったのかと思うくらい仲良くなった。
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