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雨宿り
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「やっぱり"ミズキ"さんだった!
よかった。間違いかとおもったよ。」
なんて言った彼は昔と変わらない様子で微笑む。それは、僕には眩しすぎて。思わず目をそらしてしまう。
「まさかまた会えるなんて思ってなかったよ。元気にしてた?」
「うん。」
「そっかぁ、俺あの後連絡途絶えたから病気になったのかと思って・・・」
なんて、優しい声をかけてくれる。
僕から突き放したのにと罪悪感で視線を逸らしてしまう。
「ううん。ちょっと忙しくて。」
「そっか。まあ、高校生だったしね。」
「うん。そうだね。」
僕が素っ気ない返事ばかりしていたかだろうか、自然と会話が途切れてしまった。
すると、その間を持たせるようにぽつり、ぽつりと雨が降り始めた。バス停内が心地よい音で、満たされていく。
その空気感を壊すかのように"サエキくん"が口を開く。
「なぁ、なんであの後連絡くれなかったの?
東京に来れなくても何時でも連絡してくれて良かったのに。」
「・・・っ。」
僕は何も答えなかった。
答える事が出来なかった。
「聞いてる?」
「あの、あのね。」
話すしかないと思って話し始める。
ぽつりぽつりと降る雨のように。いっそかき消してほしい程だった。
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