アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
episode1-2
-
次の日。朝のHRにて席替えが始まった。担任教師の手作りのくじを引き、割り振られた番号の席に荷物を持って移動する。真の席は窓側の列の一番後ろ…つまり、教室の隅だった。教科書など全てリュックに詰め込んで新しい席に移動し、腰を下ろす。一番後ろの一番隅の席はなんだか特別感のようなものを感じる。
(今回の席替えガチャは大当たりってとこかな)
誰が隣だの自分の席はどこだので騒がしい教室内を見渡しながら、荷物を片付ける。自分の前の席に座るクラスメイトと軽く言葉を交わし、ふと隣は一体誰だろうかと気になった。凡そクラスメイト達は新しい席へと移動して近くの者と会話をしながら次の授業の準備をしている。黒板に視線を移し自分の隣の席に書かれている名前を確認しようとしたその時だった。閉められていた教室の扉が勢いよく開かれ、顔を覗かせた生徒に先生は呆れたように声をかける。
「鳥羽ぁ、今日で遅刻3回目だから放課後ペナルティな」
「はぁ!?2回目じゃねーのかよ先生!」
「3回目だバカ。ほら、席替えしたからさっさと自分の席につけ」
目を丸くするその生徒に出席簿で軽く頭を叩くと、先生は席につくよう促した。そんなやり取りを見て、真は彼が自分の隣の席だということを察する。
鳥羽優。どこにでもいるようなヤンチャで少し問題児…不良と呼ばれる生徒だ。今年初めて同じクラスになったわけなのだが、話したことは一度もない。
(でもまぁ、いつものようにそれなりに接しておけば大して問題ないでしょ)
頬杖をつきながら近づいてくる優を横目で眺める。席が隣となれば、どう足掻いてもゲームで言えば小さなイベントは発生する訳で、頭の中で軽くシミュレーションをしながら優から視線を逸らそうとしたその時だった。
「…?」
一瞬、優は真を見るなり眉間に皺を寄せ険しい表情を見せた。だが、席につくなり優は真の方には一切目もくれず近くの席に座るクラスメイトと話し始める。そんな彼に、今度は真が眉間に皺を寄せる。話したことも無いのに、何故あんな表情をされなければならないのか。思い当たる節なんて真にあるわけがなかった。
「んじゃ、今日からこの席順で過ごすように。次の授業遅れないようにしろよー。特に鳥羽」
「俺名指しかよ!」
二人の掛け合いにドッと教室から笑いが起こる。それと同時にHR終了のチャイムが鳴り響き、真の思考はそれらによって掻き消されてしまった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
3 / 4