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「だけどスバル。君は俺を裏切らない」
「…………」
「俺を選んだ以上、道は一つしか残されていない。俺達はこれからずっと一緒なんだから、間違っても裏切るなよ?」
優しい腕の中に俺を閉じ込め、願いとも脅しとも取れる彼の言葉はどこか冷たく耳に届く。
魔女の掟がどんなものかは知らないが、心を預けた人に裏切られ、自らその人を手にかけた。
それがどんなに辛くて残忍な事か彼は理解してる上で俺を縛り付けようとしてる。
きっと今のユーリに残っているのは恨みなんかじゃない。
消せなくて募る一方の想いを預けられる相手が欲しいだけなんだ───。
「俺は…その人の代わりじゃない」
「え…?」
「まだ好きなんだろ?その人のこと」
「…………」
「大切な人の代わりなんて…、どこにもいないんだ」
「俺を……裏切るつもり?」
身体を離したユーリは俺を嘲笑いながら冷たい視線を寄越した。
「足掻いたって無駄だよ。俺の"視る"力は本物だから絶対に外さない。君には二つの魂と白と黒の道が見えた。そして君が選んだのは白、その先には俺といる姿が見えた。運命は変えられない」
「単にあんたは変えないようにしてるんじゃないのか?俺にはそう見える」
「…………」
「どうにもならない事だってあると思う。だからって全てを委ねるのは違うんじゃないか?」
ユーリは何も言わずに無言で俺を睨み続ける。
所詮他人の言うことだからどこまで届くかは分からないけど、それでも俺は言葉を繋げた。
「────だから」
「スバル、もういいよ。君から何を聞いたって結局物事は俺の視た通りにしか進まないんだから」
「ユーリ……」
「もし仮に俺の知らない未来になったら、君の言葉を信じてやる。それまでは────?」
「何の…騒ぎ?」
店内だろうか?急に部屋の外が騒がしくなり俺達はドアに目を向けた。
すると騒々しい足音が近付いてくる。
「ユーリ!あんた何したのよ!?」
「えっ、姉貴!?」
乱暴にドアを開け放ったお姉さんが俺達の視界に飛び込み、廊下から伸びてきた姿のない手がドアの縁を掴む。
「返して貰うぞ…っ、ユーリ、そいつは俺のもんだ」
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