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4話(2/5)
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初日は簡単な連絡程度しかなく、もう下校してもよいとの事。
本格的に授業が始まるのは来週かららしい。
帰り支度を始めるクラスメイト達と同じく千尋も帰ろうかと席を立ったとき、「ねぇ」と後ろから声を掛けられた。
「なぁなぁ、名前なんていうの?オレ白谷英知、英知って呼んでいいから」
そう言って笑う白谷はとても整った顔立ちをしており、その笑顔だけで女の子を一発で落とせそうだ。
あぁ……こういう奴がイケメンなのかと勝手に解釈しつつ、ぶっきらぼうに答える。
「……斉藤千尋」
「へぇ、千尋ね。千尋って中等部じゃ見なかったし、今年からうちの学校に来たんだ?」
「そうだけど」
「どこ住んでんの?うちの学校の寮とか?それとも一人で暮らしてんの?」
(なんだコイツ)
馴れ馴れしい人間とはまさに彼のような人間の事を指すのだろう。
了承もしていないのに勝手に名前で呼んできて質問攻めの嵐。
私立だから途中から来る人間が珍しいのかもしれないが、あまり気分はいいものではない。
それにこういったタイプの人間もあまり好きではない。
適当に言ってさっさと帰ってしまおう。
「悪いけどオレ用事あるからさ」
「じゃあオレも一緒に帰ってもいい?」
「え、っと……」
まさかの展開に焦る千尋。
一緒に帰ったら住んでいる場所がバレてしまう。
何となくだが危険だと脳内で信号が出ている。
関わらない方がいいと。
そうこうしている間に白谷は自分の鞄を持って千尋の手を引いて歩き始める。
「ちょっと、」
「ほら行こうぜ」
「おい白谷。オレのパシリ連れて何処行くんだよ」
今まさに教室から出ようとした時、いかにも不機嫌なんですな声色で流が開いている千尋の腕を掴んでいた。
というよりパシリになった覚えはない。
小さく白谷が舌打ちをする。
「流か……別にいいじゃん。てゆうかお前に関係ないし」
「お前に関係なくてもこっちにはあんだよ」
睨み合う二人。
口調から知り合いなのは分かるが仲がいい関係でないのは確かである。
(カナ先輩といい……仲悪い奴ばっか)
流は視線を外し白谷の横を抜けると教室を出た。
もちろん千尋も一緒に。
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