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3話(3/10)
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「さて……、だいたいの事は分かった?」
「まぁ。他には誰か住んでるんですか?」
「二人住んでるよ。さっき顔出すようにって言ったからその内来るとは思うけど」
慶一が時計を確認する。
まるで見計らったようにタイミングよく扉が開くと、少年が部屋に入ってきた。
「こーんにちはー!」
明るい声が響き渡る。
「ほら来た。奏くんもこっち座って」
「はいはーい。あ、この子が新しい入居人?」
「そう。斉藤千尋くん、新入生だよ」
そう言って何食わぬ顔で千尋の隣に座ると、物珍しい表情で観察される。
それも全身くまなくだ。
確かに新入りだけど、何だか居心地が悪い。
お返しとばかりにこちらも観察をしてみるが、天然パーマのようにクルンッとした栗色の髪に穢れを知らない純粋な瞳を持っていて、少し声も高い。
もし髪が金髪だったら紛れも無く彼には天使という言葉が似合うに違いない。
「千尋くん、その子は」
「倉持奏っていいます!カナって呼んでね!ちーちゃん…って呼んでもいい?」
「は、はぁ……」
ニッコリと笑って、腕に抱き着かれる。
というか、ちーちゃんってなんだ、ちーちゃんって。
明らかに語尾にハートマークが付いていた。
それに全体的にも子供っぽい気がする。
背は千尋と対して変わらなさそうだが、口調や雰囲気からして年下には違いないだろう。
だったら子供っぽいのにも納得ができる。
よろしくと差し出された手を握り、いくつぐらいだろうと考えた矢先、その考えは直ぐに否定されてしまう。
「僕三年だから分からない事あったら何でも聞いていいからね」
「はぁ……って、え?三年って……えぇ!?」
「千尋くん。奏くんはこう見えて今年高校三年生なんだよ」
クスクス笑う慶一は楽しそうに告げる中、奏本人もビックリした?なんて楽しそうに首を傾げている。
何だか騙されたようである。
……勝手に勘違いした自分が悪いのだが。
「ところでアイツは?」
奏の顔が少し険しくなる。
その表情とアイツ、と呼ぶ辺り仲が良い様には思えない。
「声は掛けたんだけど……あ、ほら来たよ」
廊下を走る靴音が近づいてくる。
奏の顔はみるみる内に不機嫌そうに眉が釣り上がっていく。
そんなに嫌な相手なのだろうか。
初対面の千尋に抱き着くような人が嫌う相手、一体どんな人物だろうと想像を膨らませていれば、場に不釣合いな怒声が響いた。
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