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7話(3/5)
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「今日は……これだな」
硬貨を入れてスイッチを押す。
取り出し口から紙パックのコーヒー牛乳を手にし、さっさと教室に戻ろうとした時だった。
(あれ……今のって)
少し離れた窓の外に一瞬だけ見知った人物が見えた。
そこは所謂中庭と呼ばれる場所で、この時間は特に人気が無い。
何をしているんだろうと窓の外を覗いた瞬間、鈍い音と共に地面に倒れた奏の姿が視界に映された。
(まさかイジメ……!?)
教師を呼びに行こうと足が職員室に一旦は向く。
でも、その間にもっと酷い事をされたら……?
一抹の不安が頭を過ぎり、千尋は無我夢中でその窓から飛び込むように中庭へ。
「カナ先輩!!」
「え、ちーちゃん?」
駆け寄ると驚いた顔をした奏が制服についた砂を払っていた。
見回した所、他に誰の姿もなく逃げられて後のようらしい。
「大丈夫でしたか?どこ殴られたんですか!?ケガは?」
「大丈夫大丈夫。別に殴られてないし。ケガも…あ、しいて言うならちょっと手を擦り剥いちゃったぐらいだよ」
笑いながら擦り剥いた手を見せる。
確かに外見で目立つ外傷といえばその擦り傷しか見当たらない。
でもあれは間違いなく突き飛ばされた所だった。
(オレに心配かけたくないから?それとも……迷惑、だからかな)
後者の事を考えたら、これ以上詮索するのは避けた方がいい。
けれど……
「っ、とにかく保健室に行きましょう」
千尋は嫌がる素振りを見せた奏の手を強引に掴み、保健室へと走った。
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