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この人だから
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台所で夕飯の準備をしていた
今日は輝だけじゃなく、先生もいるし
俺の手料理を、振舞ってやろうと思った
あ、お前俺が料理出来ないと思ってただろ?
俺だって無駄に小さえ時から一人暮らししてないし
家事くらい一通りできる。俺の組の奴らもよく食いに来るからそのたび俺は作ってやってんだぞ?
レッテルに縛られて物事に偏見ばかり募らせても
生きてて楽しくない。もっと広く見るべきだと
そう俺は思ってる。顔などの容姿で判断するのでもなく
その人の内面を、見て判断するべきなのである
まぁ、今のままでも充分楽しい奴らは
きっと今をちゃんとうまーくコントロールして
自分の過ごしやすい環境にしてるんだろう
やはり人にも向き不向きがあるし
そこはいろんな方法があると思うかな
結局先生の中身を知った上で
全てを受け入れられる人を見つけるからこそ
こうやって安心できる空間が出来るのだと思う
付き合ってて相手の嫌いなとこ見つけて、
それで冷めてきて、さよならなんて
無責任だと思わないだろうか?
俺は死んでもそんなことしたくはないな。
だから先生のどんな表情も大切にしようと
そう思った
…って語りすぎたな臭い事言ってごめん
俺もたまには真面目にしねーと
親に顔向けできねぇからさ、
しっかり育ってるよって、
俺が強くならなきゃと思った理由も母親だったし、
周りから見たら強くなるをはき違えた
ように思うかもしれないけど
そう思われても仕方ないかもしれないけど
形に見える何かが欲しかったのかもしれない
何もかも、なくなった今だから
何か見えるものが欲しかったのかもしれない
俺は組の頭やっていて、後悔したことは
一度もないし頭として、俺として
したってくれる奴らを守ってやる事が
何より自分の存在意義のような気がしたのだから
「お母さん、俺変わったかな」
ボソリと呟いて軽く、笑ってしまった
もうすぐ7月お母さんが死んだ日もこれくらいだ
感傷に浸ってたらなんだか涙ぐんでしまう
「変わったね」
「え?」
壁にもたれかかって立ってる先生は
俯いて顔が見えないけれど
黙ってそこに立ってた
「変わったねって言うと思う」
「そうか…?」
「うん…」
「だといいな」
「見ててくれてるならそうなんじゃない?」
言葉一つ一つが本当に言ってそうで
泣けてきてしまう。
食材を切っていた手もそのまま止まってしまって
うっと言いながら涙が流れた
「信じてる限りずっと母さんはここに居る」
心臓にトンッと手を当てて俺を後から
抱きしめてくる、暖かい…
暖かくて、優しい温もりが
背中を伝って感じた、ずっと感じていたい
「今日のご飯なに?ママ」
「時間遅いし簡単にカレーライスかな、」
「うまそ」
優しく手を握ってほっぺにキスをした
そうだ、この人はこうやって無意識に
優しくする名人だった
この人ならずっとそばにいられる
そう思えた
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