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65話「言いたかった」
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「何か・・と、飛び降りんのかとか、思った」
言われた瞬間はドキリとした。
宮崎は息を荒くして目の前にいる。
掴まれたままの左手が熱い。
「ば、バカか。そんなことしないって」
笑う。
ああ、引きつったかもしれない。
掴まれた手が、体が、震えた。
小さく、小刻みに。
それから何故か、力が抜けた。
「あ、」
「え?千田!」
座り込んでいた。
「ごめんごめん。疲れてて」
「・・・」
「んな、心配そうな顔すんなよー。大丈夫だから」
へらへら笑って誤摩化そうとするのに、宮崎は俺を見下ろしたまま、腕を離さない。
何でだろう。
「あ・・」
何だろう。
何故だろう。
ぼろっと、涙が零れた。
「千田・・?」
しゃがみこんだ宮崎の顔が、目の前にくる。
止まらずにぼろぼろ。
涙が頬を落ちていく。
止めてくれた
止めてくれる相手がいた。
「っ・・う、」
「千田、どうした?」
止めてくれる人ができた。
『がんばらなくていい。戦ってる訳でも何でも無い。いいな、愛』
『お前は、死ぬな』
あの時と同じ青空なのに、誰も死んでない。
「宮崎、ごめんっ・・!!」
「え?え?」
「ごめん・・ごめん、ごめん!!俺・・好きになれないけど・・お前のこと、好きになれないけどでも、でもっ・・嫌だ!!お前が遠くに行くのも!!避けられるのも、お前が、ち、違う人といるのも全部やだ!!苦しい、そんなの・・!!」
縋り付いた。
泣き叫んだ。
ずっと、苦しいと言いたかった。
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