アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
波乱の幕開け(with王道)-3
-
「んじゃ、連絡な……俺からは特に無いが、転校生が来ている」
無いんかい!という有坂さんのツッコミを気にせずあの煩い毛玉について言ってきた。
「転校生!?イケメンかなぁー?」
「えぇ〜、可愛いのがいいだろう」
「でも、なんで今?」
普通、編入はテストも簡単な学期の変わり目にあるので、学期が始まってからの編入は大変珍しいもの。
「詳しい事は知らねぇが……あって数分であれはヤバイ感じがするから、一応生徒会とは離れた所に置く」
「そんなにヤバイ奴なのにSクラス?」
正直、二人が近くに来てくれる前の状況なら座る場所は必然的に私のすぐそばだっただろうが、先生も毛玉のおかしさに気づいたのだろう。
何かと絶大な人気で厄介事に巻き込まれやすい生徒会は、突拍子も無い事で被害を受けたりする。
それとない先生の配慮に心底ホッとした。
「……見ればわかるだろ…一ノ瀬、入ってこい」
「晶!!呼ぶのが遅すぎるぞ!後俺の事は宇理って呼べよな!友達なんだから!!」
スパンっ、と普段なら音もないスライドドアを軋むほど乱暴に開け入って来たのは、あれ程注意したにも関わらず全く変わっていない大声の毛玉。
「えっ………なに?このまりも……」
「友達……?晶?」
初めて見る毛玉にポカンとする皆。
いきなり担任と友達宣言をし、乱暴な姿に心底驚いているようだった。
「はぁ……一ノ瀬、あれ程注意しただろうが。なんでさっき会ったばっかのお前と友達にならなきゃいけないんだ?」
面倒くさそうに言った先生に皆が正気を取り戻した。
「はぁ?なにこの毛玉、アッキー先生のことなんで呼び捨てなわけ?うるさいし!」
「ブサイク!なんでここに来たの〜?」
「生意気!!友達とか冗談でしょ?!」
インパクトの強すぎる転校生に非難が殺到する。
そんな中、前に来た有坂さんだけは何故かガッツポーズをしていたが、有坂さんも編入生なので編入仲間が増えて嬉しいのだろうか。
「俺は、一ノ瀬宇理!宇理って呼べよな!!晶は名前教えてくれたから友達なんだぞ!」
「何それ、頭おかしいんじゃない?」
「バカみたーい!名前教えたら友達っておかしいんじゃない?」
あまりの横暴さに皆の不満が止まらない。
「お前ら辞めろ、こんなのいちいち相手にしてたら頭なんていくつあっても足りないし、だりぃだろ」
漸く大きなため息をついた先生からストップがかかるが、先生も生徒の間では人気の部類に入るので、そんな先生を名前呼びさせているのがよほど気に入らないのだろう、文句が止まらない。
あの毛玉に自分がここにいるとバレればかなり面倒なことになりそうだったので気配を消していたのだが、このままでは授業を受けられなくなりそうだ。
「一ノ瀬、お前はそこの廊下側一番前の席だ。さっさと座れ、迷惑だ」
「なんで俺にそんなこと言うんだよ!?友達なんだから優しくしろよ!」
いまだ続く攻防にため息をつきながら、席を立つ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
23 / 523