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食堂-3
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すぐに秋様と夏様が合流し、揃って食堂へ行くことができた。
奏様の肩越しに見えるは、美しい聖母マリアの彫りが施された両開きのドア。
何故聖母マリアなのかは学園創設からの謎だという。
「澪、耳塞いでろよ」
「えぇ、大丈夫です」
奏様がこう言うのには訳がある。
生徒会とは皆の憧れ、尊敬、人気、その他全ての視線と想いを向けられる組織で、特にこの代はかの十神家が集まり、私を除いてルックスも超一級品ときた。
絶大な人気を誇る生徒会が一般生徒の前へ、まして食堂など普段は有り得ない。
だが、月に一度この日だけ生徒会が食堂へ訪れる確率がグンと上がるのだ。
もちろん、お茶会でも会えるのだが全員が揃うのはたまにの行事や式典でなければ不可能。
そんな日の今日はいつもの何倍もの生徒が食堂へ押しかけ、ひと目見ようと待機している。
目にした瞬間、喜びと驚きが自制心よりも勝り皆叫んでしまうのだ。
なので悲鳴が上がると思われるときは耳を塞ぐか、耳栓を用意している。
傷んだ蝶番がギイィ…と音を立てて開かれ、まるでホテルの式場のような場所が顔を出す。
間髪入れず、悲鳴が上がる……
…………はずだった。
代わりに有ったのは、異様な静けさと今来たばかりだというのに肌をチクチクと刺すような異常な緊張感。
「なんだ…?」
「なに、何がおきてんの?」
開かれた扉の先では皆、扉とは逆の方向を凝視していてこちらを見ている者は誰一人居なかった。
この日の生徒は皆、いつ奏様が扉を開け入ってくるのだろうと待ちながら食事をしている。
そう、気づかない筈がないのだ。
皆が何に気を取られ、何に緊張しているかは誰かに尋ねずともすぐに分かった。
「ーーーーろよ!親衛隊なんて!!」
嗚呼、本当に面倒な事をしてくれる。
中に入り、皆の視線の先を追うと広い場所で入り口まで届くような大声を上げているのは……
案の定、今日来たばかりの毛玉だった。
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