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初めての男-8
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「馬鹿言うな!澪はさっきどんな目にあったのか忘れたのか?!」
そう怒られて、ハッとした。
駆さんの柔らかな雰囲気で忘れようとしていたが私は強姦されかけたのだ…………。
また、あんな怖くて気持ち悪い目に合うのは嫌。
でも私には帰る家がない。
他にどうしようもないなら、親衛隊の皆のところを尋ねることもできたけどこれも迷惑だろう。
我慢するしかないのだ。
「そうですけど………私は……」
「いいから、俺の家に来いよ。………行く場所ないんだろ?」
「っ、どうして………!」
「言いにくいんだが………澪はΩだろう?ここは行き場をなくした者たちが集まる場所だ。澪もその一人だからこんなとこまでタクシーで来たんだろう?
ボスたちのお陰で治安は悪くはないが、Ωが一人で歩くのはやっぱり危険だ。……俺と一緒に来るか?」
全く翔さんに頼ることなんて考えていなかったので、あっけにとられるがすべてお見通しだったというわけか。
所々違うところもあるが、結局行くところが無いのは同じなので対して訂正する必要もない。
…………このまま翔さんに頼るのは間違いだろうか。
私が持つお金は無限じゃない。
カードや口座は止められている線が強いし、Ωとして働いていくならば私に考えつくのは……体を売ることだ。
そうでなくても、力のないΩは定期的に来る発情期のせいでまともな職は見つからない。
以前まではそんなこともなくただ非力だと言うだけでβと何ら変わりなかったのだが、発情期が来てしまったんだ、そう考えるのが妥当だろう。
「でも………………」
「いいから、こういうときは年上に頼っておけよ」
なるべくお金は使いたくない。
でも迷惑だけは、掛けられない。
「じれったいな……じゃあ、俺の家でご飯作ってよ恩返しだと思ってさ。それならいいだろう?」
返事を渋っていると、そんなことを提案された。
それはとても魅力的で、恩返しもできる。
「そ、それなら………」
「それは良かった。……もう立てそう?」
やっと満足出来る返事をもらったと翔さんは立ち上がった。
「…はい、もう大丈夫です。今日初めてあったのに良くしてくださって、本当にありがとうございます………必ず、このお礼はいたしますから」
私が立ち上がるとき、ごく自然に手を差し伸べてくれて慣れているのかと思った。
私は物凄くいい人に助けてもらえた………。
奏様のことを考えるとズキズキと傷よりも痛むが、親切で話上手な翔さんといれば少しは気が紛れる気がした。
ふらつく私を支えてくれて、タクシーに置きっぱなしだったカバンもプロテクターケースもみんな持ってくれたのだ。
翔さんは凄く力持ちだと思う。
こんな私にも優しくて、紳士的で、動作も洗練されている。
………大人の包容力というやつだろうか?
今迄あったことのない感覚の大人の男性に憧れを感じながら、かっこいい翔さんを隣にボスという人のところへ向かった。
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