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春日君と夜風君2
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「はぁ〜、今日も美味しかった」
夕祐は、お弁当を食べ終わり、満腹感と幸福感いっぱいのお腹をさすって寝転がる。
すぐ横で、夜風が苦々しい表情で舌をベロっとを出して呻いた。
「うぇ…この団子ピーマン入ってる」
「大丈夫か?夜風」
檜山君が、夜風の背中をさすってやると、夜風の目がキュピーンと光った。
「隙有り〜〜」
夜風がニヤリとして、檜山君の大好物の出し巻き卵を箸で三つ全てを攫って口の中へ押し込んだ
「あー!!」
「んっふっふー、んんんんんー」
訳:ふっふっふー、口直し
リスみたいに両頬を膨らませ、満足そうに笑った夜風を見て、悔しいそうに眉を寄せながら、夜風君の笑顔にやられてしまってる檜山君。
本当に仲の良い兄弟だなぁー。
可哀想な檜山君に、春日が
「ひな兄さん、僕の卵食べますか?はい、アーンして」
微笑んで卵を差し出した春日を、キラキラとした瞳で天使を見るように見つめ、檜山君が口を開ける。が、先ほどから春日君は僕を見ている。檜山君の口元まで行っただし巻き卵が…
「美味しいですか?」
僕の口に収まった。
「モグモグ…おいひいれす…」
春日君の極上の笑顔が眩しい…。檜山君はガックリと項垂れていた。
「いいなぁ〜、春日、俺にもアーンして」
「はい、アーン」
「アーン」
パクリ
こうして、今日も小悪魔の戯れは続く…
「ねぇ〜、夕祐さぁ〜ん」
甘えた声が頭上から降ってくる、夜風君の可愛く整った顔が僕を覗き込んできた。
「寮生活はどう?慣れた?ひな兄は面倒臭くない?」
「お母さんとお兄ちゃんみたいで楽しいよ」
「うぇ、俺は勘弁だな」
酷い言われようだ。
「寮生活は、思ったほど窮屈じゃないし、許可さえ取ればほとんど自由じゃない」
規則はあるけど、厳しいってほどじゃない、門限や点呼の時間を守らなきゃいけないくらい。外泊や他の部屋へのお泊まりも寮長に許可さえ取れば何も言われない。ただし、ゆるいだけに破った時はそれなりの罰を課せられる。
「時間決められてる時点で面倒だよ、いちいち許可とかしんどいし、俺はもっとエンジョイしたいんだァ〜」
流石、自由人夜風君、言ってることが完全なチャラ男。
「それに俺、すでにスケジュールいっぱいだし」
そう言って、夜風が胸ポケットから、色とりどりの7枚の封筒を取り出した。
「えっ、それって」
「ラブレター♪」
自慢げにニンマリと笑った夜風、無邪気で可愛いその笑顔、モテるのも納得だ。それにしてもすごいな、女子は3分の1くらいしかいない、夜風はこれまでにも、何枚かもらったと言ってた事があるし…
しかし、目に入った封筒に、僕は違和感を覚えた。
「…イクヤ?…マナブ?……おと…こ…」
「うん、半分位男だよ」
あっけらかんと言われ、僕は開いた口が塞がらない。
いや、否定したいんじゃなくて、単純にビックリしてる、否定じゃない、だって僕だって男の戀兎が好きだし、ってか、余りに嬉しそうに堂々と自慢する夜風君が立派だと思ったりして、むしろ尊敬を感じる。
いや、夜風君がホモだってことじゃないんだけど…
夜風君ってどうなの?モテるけど、春日君以外といるの見たことない…でもさっき、予約埋まってるって…
僕は今だ迷走状態なのに、夜風君から、さらに衝撃的な言葉が降ってくる。
「まぁ、春日は8割男からだけどな」
ええーー!!!
「僕は夜風みたいに、いちいち相手にしませんよ」
おう??春日君!
今さらっと言ったけど、貴方もラブレターもらってたの??そこんとこは初耳だけれども!!
この学校、ホモがいっぱいいるの?いや、そうとは決まってないけど…
僕の驚きも去ることながら、もう一人とんでもなく驚いてる人物がいる…
もちろん、檜山君だ。完全に化石化している。
この状況で、春日君が僕に話しを振ってくる。
「夕祐さんも貰った事あるっしょ?」
え!?男の子から?いや、女の子だとしても答えは変わらない。
「無いよ、僕モテないし」
僕の返答に夜風君がすぐツッコンできた。
「ふーん、可愛いのに」
「僕が?いや、平凡じゃない?」
「えー、絶対可愛いよ、なぁー春日?」
帰り支度を整え終わった春日が、僕を見る。
「可愛いですよ」
即答?即答なんだ。
「夕祐さんさぁ〜」
夜風がニタリと口角を上げて、僕の鼻先にチョンと人差し指を当てる
「好きな人いるでしょ?」
ドキン
突然の質問が僕の心臓を締め付けた。
夜風君がやっぱりねって目をしている。
しまった、あまりの衝撃続きに目を見開いて固まってしまっていた。
「…うん、いるよ」
僕が答えると、その答えに満足いったのか、いたずらっぽく笑った夜風君が、天を仰いで叫んだ
「いーなぁー!青春だなぁ〜!!…その相手が運命の相手だといいね」
「運命?」
からかわれるかと思ったのに、僕は体を起こし、意外な返しにキョトンとした。
「俺さ、信じてるんだぁ、赤い糸?産まれる前から決まってた?みたいな運命的な?」
「…繋がってるかな?」
赤い糸…もしあるなら、戀兎につながってないかな?単純にそう思った。
呟いた僕に、夜風と春日が目を瞬かせた。
「笑わないんですね」
春日が不思議そうに言った。
え?おかしなこと言ったっけ?
何故笑うのか分からないと言った僕を見て
「やっぱ夕祐さんて、イイわ」
と、ケラケラ嬉しそうに夜風が笑った。
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