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本当の危険は隠れてる
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ぶつかってきた岩龍が、夕祐と戀兎に気がついた。
相変わらず前髪で顔が見えないから、どんな表情か分からない、しかし私服の岩龍君は完全な小学生だ。
「痛!、…岩龍君…大丈夫?」
「!!」
「なんだよ君たち、友達?」
柄の悪い不良学生?らしきやつらが夕祐と戀兎をニヤニヤしながら見下ろす。
「お友達なら、俺らとも、お友達だろぉ?」
「ち、違います!!」
岩龍が叫んだ!
不良グループが少し驚いた顔をしている。
夕祐が木から落ちた時ぐらいの音量で叫んだから、夕祐と戀兎は目を丸くした。
岩龍が立ち上がった、が、足はガクガクで肩はぶるぶる震えている
不良グループが、それを見てゲラゲラ笑いだし、岩龍は向き直って、不良グループに対峙した。
「こ、この人達の事は、し、知りません、お財布出すから、こ、これで、見逃してください」
「嘘つくんじゃねーよ!」
「ひッ!」
「こいつら、おめーの名前知ってたろうが!」
「ひ、人違いです!!僕、日本人じゃないし!!名前はティール・ケルクラーデ、だ!」
そう言い放った岩龍が自分の前髪を持ち上げた!
「うわ、なんだそりゃ!」
「マジ!?カラコンじゃないの?」
「緑ってすげー」
不良の三人が岩龍君の顔を見て驚いている、夕祐と戀兎は岩龍の背中側にいるからどうなってるかわからない。
夕祐は、倒れ込んだ拍子に左手を捻っていた。戀兎が手を貸して起こし、さきほどから、冷静に目のハジで逃げ道を思案している。「合図したら岩龍君連れて逃げて」小声で耳打ちされたが、夕祐には不安がよぎる、戀兎が強いのか分からない。強かったとしても、3対1でどうにかなるのか?
「ぼ、僕の財布、あ、あげる」
岩龍が財布を差し出す。
「ありがとよ」
不良の1人が財布に手を伸ばすと、
ーパチンー
不良の手を戀兎が紙ではたいた
「てめぇ!」
「子供の財布じゃ中身が少ないでしょう?」
「あぁん!…おお」
凄んだ不良が、戀兎の手の中のお札を見て顔色を変える。戀兎が手にしていたのは一万円札の混ざったお札。
「あっ、だ、だ、ダメです」
割って入ろうとした岩龍を戀兎が押しのけて、後ろに押されて下がった岩龍を夕祐が捕まえる。
「くれるってーなら貰うけどよ、まだあんだろ?」
その言葉を受けた戀兎が、手に持っていたお金を不良に向かって投げつけ、お金が散らばった。
「走って!!」
戀兎の合図で、夕祐と戀兎が走り出し、驚いた岩龍が引きずられる。不良たちはお札を拾おうとしてかがんだ瞬間だったので、反応が遅れたが、「待ちやがれ!!」と叫び、2人が追いかけてきた。
夕祐と戀兎と岩龍の3人は無我夢中で走った。夕祐は土地勘がないなので戀兎に続いた、
どのくらい走っただろう?
しばらくは後ろから「待ちやがれ!」「止まれ!」と声がしてたが次第に遠のいて聞こえなくなった。
「ここ入って!」
戀兎に連れられて入ったのは、古びた駄菓子屋の隣の駐車場、3人が上がった息を整える、はぁはぁと、荒い息だけが響く…。
後を追ってきてる様子はない。
戀兎が外を眺めていたが、肩が下がり、ホッと息をついたのが見える。
「ご、ご、ごめんなさい!」
1番最初に口を開いたのは岩龍だった。
「ま、巻き込んでしまって」
「岩龍君って、勇気あるんだね」
「え?」
僕の問いかけに、口がぽっかり空いた岩龍は相変わらずぷるぷる震えている。
「だって、あんな怖い人たちに、立ち向かうなんてさ」
「た、立ち向かってなんか」
両手と首をブンブン振っている。それが夕祐には可笑しくて堪らない。
「かっこよかったですよ、岩龍君」
戀兎が優しく言った。
「かっこよかったのは、せ、先輩で、あっ、お金」
「いらない、いらないよ」
財布に手を伸ばした岩龍を戀兎が止めるが、岩龍があきらかに納得できないと口を曲げる。
「な、何かお礼を」
「いらないよ」
「で、でも、2人に何か返さないと僕…ぼ…く」
「はーい、提案がありまーす」
夕祐が元気良く手を挙げた。
「皆でお泊り会するっていうのはどうでしょう?友達記念に☆」
「え?」
「えっ!」
岩龍がビクッと背筋を伸ばし、戀兎が目を瞬かせた。
「僕のとこ今晩相方居ないし」
「それは、ゆうちゃんの都合でしょ?」
「あれ?ダメ?」
いつもの調子で、おちゃらけたつもりがハッとする
……しまった、僕、戀兎に振られたんだった。
「こ、今夜は、ぼ、僕も一人ですが、テ、テストもありますし、し、申請もしてないし」
「あっ、それは勉強すれば良くない?申請は有馬先輩にすればいいし」
「で、でも」
「は?い♪、お泊り立候補しま?す♪」
突然降ってきた声。
それは、夕祐でも、岩龍でも、戀兎でもない、夕祐は背筋が寒くなるのを感じて視線だけで声の主を捜した、が、戀兎が、僕の後ろあたりを見て青ざめている。
僕の
後ろに
誰かいる
夕祐が振り向くより早く、相手が、夕祐の背中に覆いかぶさってきた
ドキ!!
手にはお札が握られている
さっきの、不良!!!???
血の気が引く思いだったが、よく見ると、お札を握っている手が、妙に白くて細い…不良達は、だいぶ体格がよかった…
では、
後ろにいるのは
誰?
「可愛い子がいるね」
耳元で喋られて、ゾクリとする、なんとも艶のある妖艶な声。
「食べちゃいたい」
夕祐がその声にハッとする。
僕はこの人を知っている…
いや、正確には声を…
この人は…
「火浦君を離せ、マキ」
ーーーマキ!ーー
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