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暴露
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金曜日
全てのテストがついに終了した!!
なんとか無事回答用紙をうめることができて良かった。
「あっ、問10の答え、間違ってるー」
「え!」
回答用紙を回収した前の席の夏美のツッコミに、思わず手を出した
しかし夏美はヒラリと紙を頭上にあげてかわす
「もう終了ですよ~」
残念ながら、前へ回されて行く回答用紙を涙目で見送る夕祐、夏美にケラケラ笑われた。
「夕祐!行くぞ」
廊下から檜山の声が聞こえる。
「今日も男だけで昼食?一輪花を咲かせに行ってあげようか?」
ぶりっ子みたいに両手を頬の下に添えてウインクする夏美に檜山の声が飛んでくる
「間に合ってる」
おそらく双子のことを言ったんだろう。弟大好き檜山君、真顔です。
「はいはい、ブラコンさん」
夏美はヒラヒラ右手を振りながら、鞄を持って退散して行った。
夕祐も筆記用具を閉まって鞄をもち、檜山と共に廊下に出て屋上に向かった。
「結構できてるじゃん」
「あ、あ、ありがとうございます」
「日本語に問題はないみたいですね」
夜風が、岩龍の回答が走り書きしてある問題用紙を、春日と眺めている。
日本語に不安があると言っていた岩龍、問題も正確に理解しているみたいだし、会話でもおかしなところはない。それなのに自信がないと何度もつぶやく彼は、根っからネガティブ思考の持ち主だ。
「お前、ほーんと暗いよな、前髪ぶった切ったら明るくなるんじゃない?」
「夜風は乱暴なんですよ、時間がかかったって自然にそうしたいと思えるようになるまで待った方がいい」
「春日はのんびりしてるなぁ、そんなんじゃ欲しいものができた時あっという間に取られちまうぜ」
「僕はそんなに抜けてません」
「知ってる」
二人に挟まれてオロオロしている岩龍君。彼がお弁当を食べに来るようになって、双子の標的は岩龍君になり、檜山君は少しさみしそうだ。
でも僕は知っている。
双子が、そんな檜山君のことを楽しんでいることを…
今日も小悪魔たちは元気です。
お昼を美味しく頂いて、皆で寮に帰り着くと、入り口横の事務所でおばちゃんが声をかけてきた。
「あ、ちょうどよかった火浦君、郵便来てるのよ」
「え?」
「ほらほら」
入り口で受け取ったのは、A4サイズの茶封筒。
「あとさぁ、悪いんだけどコレも部屋に置いてきてくれない?」
ほか二枚の手紙を受け取り、そちらの宛先を見ると
同じクラスの向井君宛と、有馬戀兎宛の郵便物だった。
あ、戀兎宛…部屋にいるかな?
思わず会う口実ができて、顔がほころぶ。
「か、な、や、ま、あ、り、さ」
戀兎に会えることに気を取られていると、夕祐の知り合いの名前が読み上げられて飛び上がる。
「え!あ!」
振り返ると、手にしていた封筒の差出人の名前を読み上げてた夜風がニヤリと笑っていた。
横から春日が口を挟む
「彼女ですか?」
「ええ!!違う違う!!」
答えながら赤面した。
かなやまありさ、彼女の事は、聞かれても自分との関係を説明できないからだ。
「あー!顔真っ赤!彼女なんじゃないのぉ?」
からかうように夜風が迫ってくるが、後ずさって否定することしかできない。
「違うんだよ!ちゅ、中学の友達!友達だから!」
「それなら、なんでそんなに慌てるんですか?」
「え!いや!そのー」
後ろめたい感情がうまく言葉になってくれず、慌てるばかりの夕祐の手から、夜風が封筒を抜きさった。
「あ!駄目!ダメだよ夜風君!!」
「なんだよ教えろよー、さもないと開けちゃうぞー」
「いや!だから…」
「あ!」
夜風が封筒を振り回し、取り返そうとした夕祐の手をかわしていたら、その封筒が夜風の手から取り上げられた。
「そこまで」
「あー、ひな兄!」
檜山が取り返した封筒が夕祐の手に戻され、夕祐は安堵の息をもらす。
「ありがと檜山君」
「ほら行くぞ」
足早に先頭を歩く檜山に続き、夕祐が部屋に向かうと、夜風と春日と岩龍が部屋までくっついてきた。
結局部屋に押しかけてきた3人。
「ぼ、ぼ、僕は部屋へ帰ろうとしたんですけど、よ、夜風君が手を離してくれなくて!」
真っ赤になりながら弁解する岩龍君、彼も毎日にぎやかになって、よかったのかよくなかったのか。
夕祐は早く戀兎の部屋に行きたくて、折れることにした。
「別に知られて困る相手じゃないんだよ、中学の友達だし」
目の前で封筒を開けるのを食い入るように見つめる、夜風と春日、部屋の奥で檜山の呆れたため息が聞こえた。
本当にただの友達だ、ただちょっと僕の片思いについて詳しいだけ、だから、どうゆう友達か聞かれても、真実を双子に話すことはできない。
彼女こそ〈かなやまありさ〉こそが、悩める夕祐を救ってくれた腐女である。
封を切り、上から覗くと、封筒には、A4サイズの冊子と手紙が添えられているのが見え、まずは冊子に手をかけて半分持ち上げる。
表紙を見た祐介は青ざめた。
「ぎゃ!!」
潰されたみたいな声を出して、マッハで冊子を封筒には仕舞いこんだ。
落ち着け!僕!今表紙は僕の方を向いていたから、対面にいる夜風たちには、この本の題名は見えてないはずだ!!
冷や汗を垂らしながら、ソロリと夜風達に視線をやると、
ニコニコ笑ってる夜風と、
ニコニコ笑ってる春日と、
うつむく岩龍が目に入った。
その表情に嫌な予感しかしない
「…見た?」
夜風•春日
「「ゆうちゃんれんとの片思いメモリアル」」
残念!!
冊子の裏面にも題名が書いてありました。
ありさの馬鹿!!
夕祐は、泣きながら、封筒と預けられた手紙を2枚を持って部屋を飛び出していった!
《ゆうちゃんお元気ですか?先輩とは再会できましたか?もう告白した?一ヶ月たってメールしてみようと思ったんだけど、LOVEな妄想が膨らんで、ゆうちゃんと先輩のこと同人誌に書いてしまいました、だからバイブルにして下さい☆あと進展したら教えてね☆貴方の心の友、金山杏里沙》
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