アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
夕食とプリン
-
「お前何ソワソワしてるの?」
食堂の入り口でキョロキョロしてたら、檜山にツッコミを入れられた
「食事、2人ですればいいじゃん」
「あ!それは駄目!今までずっと檜山君も一緒だったでしょ!知ってるからってそうゆうのはいらないよ」
「…わり」
檜山は頭をかいた。
まあ、そうだよね、普通なら気が利いてる話だけどね。病み上がりの戀兎に、今日のツーショットは荷が重い。
廊下の向こうから中山先輩と戀兎がやってきたのを見つけて手を振ったら、二人ともこちらに気がついて振りかえしてくれた。
何か言葉を交わして、中山先輩は違う人に呼ばれてその場を離れて行った
あ…中山先輩も一緒なのかと思った
「おまたせ」
「今来たところだよ」
デートで聞かれるお決まりの台詞のような気もしたが、嘘ではない。
今日の夕食は、僕がハンバーグ定食
戀兎がカレイの煮つけ定食
檜山君が若鶏のみぞれ煮定食
戀兎はあいかわらず箸を綺麗に使って魚の身と骨を分けている。
長い指がとっても綺麗だ。
ハッ!ついつい見惚れちゃった。
「食欲あるんだね、よかった」
「ん、ご心配お掛けしました」
そう言って微笑んだ戀兎は本当に大丈夫そうで安心した。
僕は大好きなハンバーグをたいらげ、戀兎からお礼だと言ってもらったプリンをほうばった。
プリンを食べてる時が1番幸せ…
浸ってると、戀兎と目が合って笑われた気がして視線を落とす
あちゃー、きっとまた子供っぽいって思われた…しっかりしなきゃ!でも、プリンはやめられないし…そうだ!本だ!やっぱりかっこ良くなる方法の雑誌を買いに行こう
地味な決心を決めて夕祐がテーブルの下で拳を握ると、その仕草を見ていた、檜山と戀兎が笑いを咬み殺す
早速明日本屋に行こう!
満腹のお腹と、やる気に満ちた夕祐は軽い足取りで廊下を歩いていた
「送ってくれなくてもいいのに」
部屋への帰り道、戀兎の部屋に寄ってから行こうとして戀兎の部屋に向かおうとしていた。
「まあまあ先輩、寄るだけで方向同じだし」
「そうそう、一緒だし」
世話焼き檜山母さんと、スイッチ入ると止まらないお節介夕祐に挟まれて、戀兎は笑いながら肩をすくめた
「クス、はいはい」
なんだか戀兎の表情が柔らかい、僕、うまく話せてる。
そんな喜びにひたっていると、前方に見覚えのある背中が見えた。
「あ、岩龍君!」
夕祐の呼びかけにやたらと大きくビクリと反応した岩龍は恐る恐るといった感じに振り向き、口角を引きつらせた。
「あ、…、こ、こんばんは…」
明らかに様子がおかしい。
よく見ると、岩龍の手の中に一冊の分厚い本が抱えられていた。
あれ?
もしかして、今帰ってきたの?
そんな、今7時近いよ…確か午前中から出かけてたよね?
「今帰り?」
「え、あ、…、い、今帰りです」
うつむいて肩を震わせてる。
駆け寄って顔を覗こうと声をかける
「岩龍君だいじょ…」
「夕祐さん!」
ガバッと岩龍に抱きつかれ、一瞬戸惑ったが、夕祐はそっと肩を抱き締めた。
「大丈夫だよ」
よしよしと背中をさすってあげる。
「夕祐、とりあえず部屋へ…」
檜山にそくされて、岩龍君の肩を抱いて歩き出す。
夕祐は戀兎に視線を送り
口パクで
『メールします』
っていったら、戀兎は頷いたけど、とても複雑な表情をしていた。
戀兎も岩龍君が心配なんだ…
岩龍の肩を抱きしめて歩く夕祐と檜山を見送りながら、戀兎は眉間にシワを寄せて、胸の辺りを握り締めた。
「…なんか…」
呟きは途中で終わり、戀兎はもう一度強く痛む胸を握り込んだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
54 / 72