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甘いプリン
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その日の夕食の味はイマイチ分からなかった。
何故か戀兎との距離が近い気がしたからだ。
向かい合わせの席、いつもと変わらないはずなのに、何かが違う。
相変わらず眉間にシワが寄って微笑むのに、あまり痛まない胸は、妙な甘酸っぱさで締め付けられる。
「ゆうちゃん」
急にあだ名で呼ばれて夕祐の肩が跳ねる。
え?ど、ど、どうしたの?今さっきまで名字で呼んでたじゃん!
「どうしたの?プリン食べる手が止まってるよ」
「え?あ、最後の一個だから名残惜しくて…」
「食堂のプリン美味しい?」
「うん、コレ手作りだから卵の優しい味がするんだ」
戀兎はテーブルに両手で方杖をついて「ふーん」といいながら優しく目を細めて笑った
ードキ
なんか、戀兎変
雰囲気が…
「ねぇ、ゆうちゃん、一口食べてもいい?」
「え?」
「僕、まだ食べたことないんだ、ゆうちゃんがあんまり美味しそうに食べるから急に味見して見たくなりました」
「いいよ!どうぞどうぞ」
夕祐は突然の戀兎の申し入れにドキドキしながら食べかけのプリンを戀兎に差し出した
「ありがとう…」
「…」
「ゆうちゃん」
「はい」
「スプーンも貸して」
戀兎が夕祐の手にしていたプラスチックのスプーンに手を伸ばし、手が触れる、夕祐が唖然とその光景を眺めていると、戀兎はそのスプーンでプリンをすくって一口含んだ
「ん、あんまり甘くないんだね、コンビニのと違って美味しいね」
「…う、うん」
スプーンがプリンの容器に入って夕祐の手元に戻ってきた
まだプリンは半分残っている
えー!!!!!
間接キス!!間接キスだよね!!
って!!プリンまだ残ってるから食べなきゃだよね!!
戀兎の馬鹿!僕好きだって言ったよね!!
いや、馬鹿なのは僕か!?
パニック!!
夕祐は心の中でジタバタしながら表情は冷静を装い
食べないのはおかしいのでプリンに手を伸ばし、心で「無心無心」と唱えながらプリンを綺麗に感触した。
心臓のドキドキがおさまらず、顔が赤くなってないか心配で頬に手の甲を当ててみる
「ゆうちゃん、片付けたから戻ろうか?」
「う、うん」
心が休む暇なく2人で並んで食堂を後にする。
な、なんで急に名字で呼ばなくなったんだろう?つい?いや、もういいのかな?そうだ、点呼代理終わったし、いいのかな?
「ゆうちゃん」
「…何!」
「本、貸してあげるよ、こないだ読みたいって言ってたよね?」
「うん!読みたい!!」
「じゃあ、僕の部屋寄ってもらっていい?」
「うん!行く行く!」
興奮した夕祐は両手でガッツポーズするみたいにしてはしゃいだ。
そのはしゃぎ様に戀兎がおかしそうに笑うから「しまった!」と澄まし顔をしてみたが既に手遅れで、戀兎を余計に笑わせただけだった。
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