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俺の過去-6
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小学生の一人暮らしは世間一般では有り得ない話だが、一度夕方のニュースで取り上げられただけで、大して騒がれることもなく、お茶の間ではおしどり夫婦と有名な俳優の不倫報道の方が興味を集めたようだった。
親父は俺が保護されたというニュースを見ただろうか……。給食のない土日や祝日になると玄関の取っ手に食料が下げられていることがあったのだが、多分親父が置いていってくれたのだと思う。
時には腹痛の薬や風邪薬なども混ざっていて、そんなに心配なら家の中に入れば良いのになと苦笑いを浮かべていたものだ。
親父もあの生活が続くより、伯父に引き取られた方が安心するだろう。
俺を捨てて置いていった親父のことを周囲の大人達はこぞって酷い親だと罵っていたが、不思議と怒りは湧かなかった。
伯父は愚弟が悪かった、もっと早くに気が付くべきだったと毎日俺に謝って来た。
親戚が疎遠になることぐらい今の世の中では当たり前なんだから、気にしないで欲しいと言えば、更に謝ってきたので俺の言葉はその場に適していなかったのだろう。
暖かい部屋で震えることもなく3食きちんと食事を与えられ、柔軟剤の香る衣服を身につけて、風呂も毎日入れたので、俺にとって充分満足な暮らしだった。
その上、一人っ子だった俺に兄が出来たことにも感謝した。
元々従兄弟である兄は5歳年上の優等生だ。端正な顔立ちで周囲からはイケメンだと可愛がられていたし、学校でも男女を問わず皆から人気があり特に女子生徒達からは凄いモテっぷりだった。
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