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俺の過去-7
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そんな兄が周りの目を気にしながら良い子ちゃんを装って、日々神経をすり減らしていることなんて誰も知らなかったんだろうな。
俺だってある日兄が泣きながら打ち明けてくるまでは、自然に振舞っていると信じて疑わなかったものだ。
当時12歳になった俺に優等生ぶるのが苦しくて堪らないのだと訴えてきた兄は相当参っていたのだろう。
誰にも打ち明けられず日頃の鬱憤を溜め込んだ彼は少しずつ壊れていたようだ。
俺に泣きついてきた時はもう追い詰められてギリギリだったんだと思う。
だから彼の悩みを聞くのは俺の使命のような気がしたし、引き取ってもらった恩返しでもあるのだと思い、全面的に彼の味方になることにした。
「どこにも完璧な人間なんていやしないよ」
そこら辺に転がっていそうな言葉だが、俺の一言で兄の心は随分と楽になったらしい。だけどそれが俺に依存した彼を更に歪めていく事になるとは思ってもみなかった。
伯父の家は二階建てで一部屋が広めに作られていた。1階にキッチン、リビング、伯父夫婦の部屋と客間が何個かあり、2階に俺と兄の部屋と共通の物置部屋がある他に空き部屋も余っていた。
俺が中学生になっても相変わらず兄にとって甘えられるのは俺だけのようだった。
兄は大学生になっても実家暮らしを続けて家から離れようとはしなかった。
優等生気取りが嫌だと言いながらも彼は外面を崩すことは決してしなかったし、聖人君子のように振舞っていた。
しかしその事にストレスを感じていたので俺だけには素を見せられると喜んでいた。俺も頼りにされて満更でもなく正直嬉しくもあり誇らしくもあったので、年上の彼を甘やかし続けた。それが良くなかったのだろうかと未だによく分からなくなる。
伯父夫婦が結婚記念日に旅行に出かけたその晩、俺は兄に襲われたのだ。性的な意味で……。
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