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俺と大男-2
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どれほど経ったか分からない。大男の声が枯れる頃、尻は赤く腫れ上がり、俺の手も真っ赤になっていた。
主様とやらにかなり忠実な下僕のようで、口を割らなかったしぶとさだけは、悔しいが褒めてやろう。
ふとこちらをじっと見つめる視線を感じてキッと顔を向けると、そこには指を加えた百瀬が立っていた。
「百瀬……いつから居たんだよ」
「……っ。さとう……」
そのすぐ後ろを数名の足音が追って来たので、さほど長い時間では無かったのだろう。
「お前何やってんだよ……風紀委員ならちゃんと仕事しろよ」
当事者の俺に言われたく無いだろうが、他の風紀委員が追いついて来て、大男と俺が拘束されている間に、百瀬が小さく「す、スパンキング、なんと羨ましい」と呟いたのを聞き逃さなかった俺は、もっときつく言っても良かったと思う。
「百瀬、速すぎるだろ、ぜぇぜぇ」
呼吸がなかなか整わないやつとは違い、百瀬はすぐに息を整えたようだ。さすが化け物並の身体能力だな。
「そして後藤。お前は一刻も早くジャージを履け!」
この大男の名は後藤と言うらしい。後藤は泣き腫らした目でジャージと靴を受け取ると、よろよろしながら履き直した。
その間一度俺と目が合って、ヒィィと声にならない悲鳴をあげていたが、俺は容赦なく視線という嫌がらせを浴びせてやった。
後ろ手に縛られた腕がきしんで痛い。百瀬はここまですることは無いと抗議していたが、例外は許されないそうだ。当たり前か。
川遊びも終わって皆も大自然の家に移動するらしく、遠くで点呼をとっている声が聞こえて来た。百瀬は俺を見て何か言いたそうだが、外では話しかけるなと言ってあるので、必死で飲み込んでいるようだ。
大自然の家に他の生徒より早く到着した俺達は、会議室に入れられて尋問を受けた。後藤の口のかたさから、長引くのではないかと心配したが、俺が怖すぎたのか大男が捏造する事なく正直に話したので、思ったより早く終了した。
ーー誰が見ても、俺が後藤を襲ってたよな。
後藤は学園内で素行が悪く、風紀委員から度々注意を受けていたそうだ。意地でも自分が襲ったのだと主張したおかげで、俺が被害者の立場になった。変なプライドに感謝だ。
タイミング良く現れた風紀委員に、疑問が湧いていたのだが、俺が森に入るところを担任の大山が見ていたそうだ。なかなか出て来ないことを心配し、追いかけようとしたところを百瀬たちに止められて、訳を話してくれたらしい。
七三分け目の大山に感謝する。あのまま後藤と二人きりで居たならば、もっと酷いことをしていたかも知れない。
後藤が主様と呼んで親しんでいるのは、一年先輩で女顔を武器に姫などと呼ばれている黒田というやつで、学園の美少年コンテストで昨年優勝した人気者だそうだ。
黒田は前々から朝丘に目をつけていたが、自分に全く靡かない事に苛立ちを感じていた。
今朝俺と朝丘が肩を寄せあって歩いているところを、一年の誰かが学園の裏ホームページに投稿し、それを見つけて激怒した。
そこで取り巻きの一人である後藤に俺を懲らしめよと命じて今に至る。
「後藤は今日命令されたんだよな?なのになんであんなもの持ってたんだよ。用意が良すぎるだろう」
百瀬の質問に室内全員が頷いた。予め制裁するわけでもないのに、スタンガンとディルドを持っていたのが謎すぎる。
後藤は夕焼けのように真っ赤な顔をして、暫く黙っていたが、俺が机の下で軽く足を蹴ると、デカい体を震わせて話し出した。
「スタンガンは俺の趣味だが今まで悪用した事は無い……もう一つの方は、あ、あれが無いと……その、イけないんだ」
引くわーー。
これには全員一致で、ドン引きである。まあ人の趣味をとやかく言うものではないが、一泊ぐらい我慢しろよ。
とにかくスタンガンは外で携帯する場合には、正当な理由が必要だ。後藤はこの後もスタンガンについて問い詰められる為に会議室に残り、俺は過剰防衛だとキツくお叱りを受けたあと解放された。
会議室を出て行こうとした俺に、つい手が出てしまったのだろう、百瀬が腕を掴んだので「触るな」と小さく言いながら振りほどき、驚いている百瀬を冷めた目で一瞥すると、素早く会議室を出た。
ーーまさか二人で抱き合ってるところを、俺に見られたとは思ってもみないんだな。くそっ。
俺の心は冷えきっていて、何もかもが面倒くさくなっていく。
そのあとメイン玄関から続々と入って来る生徒と合流し、割り当てられた部屋へと足を運んだ。
朝丘が俺の荷物を運んでくれたので、感謝の言葉を告げると、かなり心配をかけていたみたいで、森に散歩に入ったら道に迷ったんだと誤魔化しておいた。
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