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俺の不安と嫉妬心-1
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朝丘に連れられて、今夜一泊する部屋に入ると、その広さにまずは驚いた。二段ベッドが左側に三つ、右側に二つ壁沿いにあり、十人が収容できるようになっている。
真ん中には大きなテーブルが置いてあり、まさかとは思ったが床暖房が完備されていた。これなら寒い冬でもなんの問題も無さそうだ。
俺は人が出入りする入口付近の一段目、誰も選ばないであろう一番人気のなさそうな場所に荷物を出そうとしたのだが、キラキラ王子様の神崎に止められた。
「ベッドは平等に決めよう。僕が簡単なクジを作って来たから、みんなこの中から選んで引いてくれないかな」
神崎の声にそれぞれ勝手に話をしていた皆が、私語をやめて集まって来た。
クジの番号とあらかじめ部屋の見取り図に書かれているベッドの番号を照らし合わせて、それぞれの寝床が決まった。
俺は一番奥の上段だ。自分で選んだのなんていつぶりだろうか。
この学園へ来る前の中学時代を思い出せない俺だが、きっと今日みたいに皆とワイワイ騒ぎながら、決めていたんだろうと思えて来た。少し切ない。
この部屋は4組の神崎が班長を務める班との相部屋だった。
神崎と百瀬は学園全体で人気者なので、同室を狙う生徒が多くいたらしい。結局ジャンケンという簡単ながらも絶大な決定権を持つ方法で決めたそうだ。
朝丘は男気に憧れている百瀬の班を狙っていたが、最後の最後で負けたようだ。未だに悔しがっているので「どうしてそこまで百瀬にこだわるんだい?」と神崎に聞かれていた。
たしかに神崎の前で百瀬の話ばかりじゃ失礼だよな。
朝丘は百瀬に喧嘩の仕方を教わりたかっただけだと照れくさそうに言った。
夕食まで自由行動だから俺は静かに携帯小説を読む事にして、自分がクジで勝ち取ったベッドにのそのそと上がり、お気に入りの作者を検索した。
神崎が朝丘に声をかけて二人で部屋を出て行くのを見ながら、キラキラ系が二人並ぶと最強だなと思った。
それに引き換え百瀬と俺は月とスッポン、天と地の差、美女と野獣だ。
自分でディスっていると虚しくなって来たので、本日更新分の小説を読んで癒される事にしよう。
で、こんな時に限って従兄弟ものがキターーッ!
ちょうど背景も学園だし、攻めは逞しいイケメン系で、受けが小柄な中性的男子だった。まるで百瀬と速水じゃないかよ。
考えないようにしていたのに、余計に落ち込んでしまった俺は、夕食の時間だと朝丘に呼ばれるまで、ベッドでごろごろとうなだれていた。
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