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しばらく無心になって蹲っていると、またチャイムが鳴った
4時間目が終わったようだ
ということは、昼休みになる
前の時間までいた生徒がいなくなったということは教師的にスルーできることでは無いと思うし、昼休みになれば人も通るはず
助かる…かな
そう思っていた矢先、遠くから足音が聞こえた
助けてください、と大声で叫ぼうとして、喉が引き攣った
水分を取っていないということもあったのだろうが、聞こえてきた声が僕とそっくりの海の声だったから
そして、足音はもう1つ
その声は僕の大好きな声
律だ、と瞬時に悟る
「海、その話は昨日散々しただろ?」
「した、したけど…でもやっぱり納得出来ないよ…」
「俺と空は確かに付き合ってたよ
でもそれもほんの数ヶ月間、慣れない環境の中で仲良くなれて、気が許せる空への感情を恋愛感情だって勘違いしちゃったことから始まった関係だよ」
「それでも付き合ってたのは事実でしょ?
どうして言ってくれなかったの?俺だけ除け者みたいにしてさ、楽しかった?
それに、空はそんな風に思ってなかったはずだよ
あんな風にはっきりと拒否を示す空初めて見たもん、きっと律くんのこと本当に好きだったんだよ」
海と律の会話は弾丸のように飛び交う
僕は聞きたくなんかないはずなのに、怖いもの見たさからか聞き耳を立ててしまう
律、勘違い、って言ってたな
そっか…勘違い、確かに、そうなのかも
勘違いでも、一緒に居てくれて僕は嬉しかったんだ
「たぶん、俺は海に一目惚れしてたんだと思う
空と確かによく似た顔だけど、見た目じゃないんだ
目に宿る光とか意思の強さとか全てが空とは違った
空と付き合ってるのに海に惹かれてる自分が許せなくて、悩んでるうちにこんなことになって
黙ってたことは本当に申し訳ないと思ってる、でも、空とはもう終わったんだ」
「だからって、俺と律くんがこんなに直ぐに付き合うのはおかしい
俺だって律くんのこと好きだよ、でもさ…
同じくらい、いや分かんないけど俺以上に空は律くんのこと好きだったのかもしれないよ?
なのにあんな別れ方で、次の日には他の人と付き合ってるなんて、空が傷つくよ…」
僕のことなんて気にせずに、早く上手くいってくれて、2人が幸せなら僕も幸せなのに
律、海に一目惚れしてたのか
律は僕を通して海を見たりしない、僕だけを見てくれる、なんて浮かれてバカみたいじゃないか
たしかに律は僕を通して海を見たりはしてなかった、僕を知ってるからこそ海に惹かれたんだ
ただ、僕に魅力がなかったから、律の心を留めておくことができなかった
それだけのことだ
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