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部屋に戻るとなんだか騒がしい様子だった
靴が沢山あるし、迅さんの友達が来ているのかもしれない
迅さんの友達と言えば十中八九生徒会だろう
申し訳ないが今日は疲れているので帰ってきた挨拶だけして部屋にこもろう
「迅さん、今帰りま、した…え?」
『空(くん)誕生日おめでとう!』
パン
クラッカーの派手な音と共にいくつもの声が重なる
思考が停止して石のように固まってしまう
そこには昼に会った迅さんと伊藤先生、高見先生、そしてヒロさんになんと副会長さん
机の上には大きなケーキ
「う、そ…なんで?」
「いやあ迂闊だった!危うく逃すところだった!」
「祐介が生徒が海の誕生日だってザワついてうるさかったって言って、へえ〜て聞き流してたんだけど良く考えれば空も誕生日じゃね、てなって」
「高見先生に教えて貰って、俺が提案したんだ、皆で集まってケーキでも食うかって」
「ヒロが気づいて良かったよ、こうやって全員で祝えて」
「ていうか…まーた怪我してる!空くん!先に手当てだよ!」
両手から溢れそうな、心臓が熱くなって何かが溢れてきそうな
そんな感覚
また涙が出てきているのも気づいた
でも止められない
だって、海以外の人に誕生日を祝ってもらうのなんて初めてで
僕の名前が書いたプレートが乗った大きなバースデーケーキなんて初めてで
僕のために、何人も人が集まってくれるなんて、初めてで
何もかも初めてで、こんな感情、知らなくて
「あ、りがと、…ございますっ…」
まともに喋れていなかったけど、とにかく感謝の気持ちを伝えたかった
皆口々に、絶対泣くと思った、とか喜んでくれてよかった、とかこれで誕生日が違う双子だったらやばかった、とか言っていて少し笑ってしまった
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