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文化発表会準備3
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泣く…か。
そんなこと初めて言われた。
どうしよう,すごく嬉しい。けど同時に罪悪感と似ている何か分からない感情が僕の身体を支配する。だって僕はそんなに永く生きられない。
頬を静かに伝う涙はコンクリートの地面にシミを作っていく。僕はこの涙の意味が分からなかった。嗚咽も出る訳ではなくただ無表情で,でも涙は止まることを知らなくて…。
その時ポケットに入った携帯が振動した。
ポケットから携帯をだし画面を見る。それはメールで送ってきたのはあの保健室の不思議なお兄さんこと2年生の先輩。
あの日からとりあえずメールを送ってみた。
遥【はじめまして,とりあえず困ってはいませんが連絡を入れてみました】
?【こんなに早く来るとは思ってなかったよ~。こちらこそよろしくよろしくね~】
こんな感じで始まったメール。
いつも内容の薄い会話をしてそれが普通になっていた。ふとあることを聞かれた。
?【遥はさなんで僕の正体を聞かないの~?気になるよね?普通はさ~】
遥【そうですね,心当たりがないと言えば嘘になりますが僕はこのままの関係が1番落ち着きます】
?【ふーん,まっ別にいいんだけどね!】
会って直接話すより相手にあったことのない状態でメールするこの関係が新鮮で何となくだったけどおちついた。けどこの関係もそろそろ終わりを迎えよう。
?【遥~聞いたよ?遥の白雪姫楽しみだな~。】
遥【相変わらず情報が早いことで…】
?【ふふ,知りたい?情報源】
遥【遠慮しときます。それよりお願いがあるんで少しいいですか?】
?【いいよ~】
流れていた涙はいつの間にか止まっていて。
聞こうと,この関係壊そうと決心していたはずなのに少しばかりの迷いが手を震えさせる。
遥【文化発表会の日,僕のクラスの劇が終わったあと図書室で会えませんか?お聞きしたいことがあるので…】
?【いいの?この関係を壊して】
遥【名残惜しいですが…あっそれと一緒に柿原先輩と四宮先輩と西井先輩も連れてきてください】
?【ふふ,いいよ~じゃあね~】
さて,教室に戻ろうかな。
それから毎日劇の準備や練習,声が元々小さい僕はボイストレーニング,それはもう厳しかった。
遥「疲れた…」
そんな調子で1週間が過ぎ今日は金曜日。
みんなより早めに帰り寮の部屋,リビングのソファに倒れた。
結構ハードだな。
体力も元々ない上に激しい運動はダメだと言われている。忙しすぎて過ぎてあれ以来イクやタカくんともあってもまともに話をしていない。
もちろん先輩にも…。
遥「会いたいな…」
柊「誰に会いたいの?」
ソファに仰向けで寝転び天井を見ていると視界が急に柊の顔がどアップでいっぱいになり慌てて起き上がってしまった。
遥「ッッ」
柊「いっ!!…痛いよ遥ちゃん…」
俊樹「何してんだお前らは…」
ドアから俊樹と要が入ってきて呆れた顔してこちらを見ている。
遥「ごめん柊,おでこ大丈夫?」
柊「うん,僕は大丈夫だよ。僕こそごめん,驚かせちゃって…」
遥「ううん。それよりおかえり3人とも」
まだ痛むおでこを擦りながら立ち上がる。
一瞬ふらっとしたような気がした。まぁ普通に立ち上がれたから気のせいかな?
要「これ,明日はこの衣装を着て練習らしい,着替える時間が持ったいねぇから着てこいだと」
遥「そう,ありがとう要。にしても衣装係も凝ってるね。これで4枚目だよ。しかも白雪姫と王子様の衣装だけ,要も大変だね」
誰も王子様をやりたがらないので結局クジにした。
その結果赤色に塗られた当たりを引いたのは要で…。
要「チッ,どう考えても俺は王子様って柄じゃねぇだろ」
っと1週間ずっと言っている。
そろそろ諦めた方がいいのに往生際が悪い。
遥「ふふっ。さてと今回の衣装は何色かな~」
4回目になる衣装袋を開けてみる。
要はまだグチグチ言ってるけど…。
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