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昔の夢12
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遥「シン!!」
僕の声に振り返るシン目掛けて勢いよく抱きつく。僕がいきなり抱きついたことに驚き尻餅をつく。
さっき流したはずの涙が枯れることく目からこぼれ出す。寒さと疲れで力の入らない手を一生懸命に離れないようにと首に回す。
深海「は…るか?」
震えるその声に返事したいけどうまい言葉が見つからなくて,ただ「シン」と呼び続けた。
深海「遥なんだな…」
ゆっくりと離された身体。
シンの膝上に乗ったまま止まることない涙がシンのズボンにシミを作っていく。
頬に添えられた手は昔と変わらず大きくて暖かくて,少しタバコの匂いもして…。
遥「…ただい…ま,シン」
うまく笑えているだろうか…。
いやきっと変な顔をしているに違いない。
深海「…」
その時シンの綺麗な海色の目から雫が落ちる。
目を見開きただ唖然と僕を見ながら流すその涙に触れたくて僕も両手をシンの頬に添える。
おでこをくっつけ目を閉じる。
もう一度シンと呼べば小さくかすれた声の遥と呼ぶ声が聞こえて僕の目から涙がまた出る。
まだこの目にシンを移していたかったけど僕の体力がもう限界だった一連の流れを見ていた瞬さんと麗の方を向き力なく微笑んでみるそして
遥「シン,瞬さん,麗…もう無理…ごめん…ね…」
そのまま後に倒れ意識を手放した。
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瞬side
瞬「おっと…気を失ったみたいだな。これはしばらく起きないだろ」
麗「俺達がいることに気がついてたんっすね。てっきり眼中にないかと…」
瞬「俺もそう思ってた」
にしても少し暑い身体,荒い息,火照った頬。
これは熱があるだろうな。
瞬「おい,シン。いつまでほおけているつもりだ。さっさと遥のこと支えろ。お前のだろ」
深海「ッッ…クソ,取り乱した,悪い」
麗「別にいいっすよ」
この2人が涙を流すのを初めて見た。
シンとは長い付き合いだが正直こいつは泣かない奴だった。子供の癖してもうこっちの世界に足を突っ込んでたからか,元々そうだったのか。
どっちにせよ緩く何にでも深入りしない。
色々なことをうまく動かしていた。
遥もここに来てから1度も泣かなかった。
それは俺たちの前だけではなく1人の時ですら。
俺たちに迷惑をかけまいとしているのか,どこかいつもヘラっと笑うくせがあった。
この2人はどこか似ている。
深海「…風呂入れてくる。わりぃけど家の方で待っててくれ…」
瞬「分かった。シン,遥が起きるまでにその顔と口調をどうにかしろ。そんなことしてちゃ遥がまた泣くぞ」
深海「チッ,分かってる」
分かってんら舌打ちすんなよ。
今あいつの顔だけで人を殺せそうだ。
遥を抱き風呂場へとシンは向かっていく。
麗「はぁ…シンさんまじ怖かったっすね。まぁ最近見てなかっただけであれが素だからな~」
瞬「多分風呂上がってきたらいつもの口調に戻ってることだろ。心配しなくともな」
麗「アレっすよね…。シンさんは大切な人への執着が強いから遥には悪いけどこれからしばらく1人で行動は避けてもらわないとッスね…」
麗の言う通り当分は遥の1人行動はなしになる。
可愛そうだがシンもあの様子じゃ仕方がない。俺たちはそれを見守ることしかできないんだ。
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