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文化発表会前日6
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柊side
隆彦「遥に犬が3匹懐いてるって噂,ほんとだったんだな」
特定の誰かに言った訳ではなく全員に言っているような言葉。
遥ちゃんと郁人くんの方を目を細め見ている隆彦くんはどこか悲しそうで…。
隆彦「遥は負の感情に対しては敏感だけど人から向けられる恋情なんかのそういった感情には正直見て見ぬふりをする。
あいつをどれだけ好きになってもあいつがお前らのことをそういった感情で見ることは…ねぇよ」
はっきりとした確信めいている重い言葉。
特定しないのは3人だけじゃないって隆彦くんは気づいているから。
拓也「なんでそんなことが分かるんですか」
本当にこの後輩くん達は遥ちゃんの前以外だと怖い。
素はちゃんとした中学三年生。
隆彦「それは自分で考えろ。簡単に答えをもらえると思うなクソガキ」
拓也「ガキじゃねぇし」
隆彦「ガキだろ…俺だってあいつの感情が動くならとっくのとうに行動してるっつーの」
脚を組み机には肘をつく。その姿は様になってて…。
そして今の発言は隆彦くんも遥ちゃんを好きだということ。
隆彦「別に誰が誰を好きになろうが俺は知ったこっちゃないが…遥が笑ってるからってお前らの気持ちを押し付けていいことにはならねぇからな。あいつの身体は脆い。今回のがいい例だ」
今回というのはさっきの教室での出来事だろうな。
確かにあのまま誰も止めなかったら遥ちゃんの腕は大変なことになっていた。
でも1つ疑問があった。
さすがの2人でも跡が残るほど力を入れるのかな?って。その答えが今隆彦くんが言ったこと。
隆彦「お前ら自分の気持ちは遥に分かって貰えてるだろうが遥の気持ちを誰か分かってんのか?あいつは嘘が上手い。だからよく見てないと気がつけねぇ…見てても分からねぇのもあるくらいだ。遥が好きならいつまでも甘ったれるな…」
隆彦くんは遥ちゃんに気持ちを伝えることより近くで支えることを選んだ。それは自分の気持ちに蓋をして気づかれないように隠すということ。
それは振られるよりも厳しく,とても哀しい決断。
しばらくの沈黙の後遥ちゃんたちが帰ってきた。
遥「なにこの重い雰囲気。タカくん何かした?」
隆彦「おい遥…なんで俺を1番に疑うんだよ」
遥「だって1番誰かに何かしそうだから…」
隆彦「あ?そうかそうかそんなに俺にどつかれたいのか…」
郁人「ストップ。2人の喧嘩はどうでもいいからさ早くご飯食べよ」
きっとこの3人の関係は時間をかけて出来たもの。
僕らも遥ちゃんとこんな風に仲良く出来るのかな…。
柊「僕は遥ちゃんと友達でいたいかな…。僕の好きはそんなんじゃないし」
俊樹「俺もだ」
きっと要は悩んでる。
自分の気持ちがどっちなのか。恋情なのか友情なのか…。それは自分で決めないといけないから僕らは何も言わない。
後輩くんたちは恋情なのは確定で,今回の隆彦くんからのお叱りが結構きてるみたい。
これからどうなっていくのかなんてみんな分からない。けど確実に今回のことで僕ら遥ちゃんの周りの歯車は動き始めてしまった。
あの時遥ちゃんはどんな気分で僕らとの生活を送っていたんだろう。
いつから僕らの歯車は狂い始めていた?
いや最初から僕らの歯車は狂っていた。
けれどそれに気づいていたのは遥ちゃんだけだった。
僕は遥ちゃんと仲良くなったことを後悔はしていないから…だからお願い…目を開けて。僕らは遥ちゃんの帰りをずっと待ってるから…。
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