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文化発表会前日9
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優side
ここの図書室は人が来ない。
だから3人で仕事をしていた。
生徒会長と書記は生徒会室で仕事中。
あまりにも資料が多いため二手に別れていた。
たまたま資料を取りに生徒会室に向かおうと扉を開いた時そこには例の白雪くんが立っていた。
優「おっとすみません…って白雪くん?」
声をかけても返事がない。
まるで何も聞こえていないようだ。
優「ッッ…大丈夫?」
そう思っていた矢先その小さな体はまるであやつり人形の糸が切れたのようにふっと倒れた。
誠「おい,優?どうしたんだ?」
優「それが…森山くんが倒れた」
誠「は?」
優「悪いんだけどそこのソファどいてくれないかな?森山くんをとりあえずそこに横にならせてあげたいからね」
倒れてきた白雪姫の顔は酷く青白く,そして酷く軽かった。
ソファにねむる白雪姫はピクリとも動きはしない。
まるで本当に永遠の眠りについたように。
運ぶ時微かに匂った鉄の匂い。
零「優,森山から血の匂いがする」
優「知っていたはずなのに…なんの前触れもなく突然こんな姿みたら実感させられちゃうよね」
この子が病気なことを。
余命僅かなことを…。
誠「なぁ,こいつが起きる前にここから退避した方がいいんじゃね?あいつが…謎のセンパイが言ってたしな。"会うのは明日"って」
零「そーいえばそんなこと言ってたっけ…」
優「まぁ正直仕事はほとんど終わってるからね。サボろうとしてたけど出来ないみたい」
机にひろげていた書類を整理する。
この子をここに置きっぱなしには流石にできない。
保健室はほかの子も来るからな…。
誠「…何やってんだ零」
零「森山に置き手紙書いてる」
誠「なんで」
零「鍵置いとくから閉めといてもらわないとだから」
優「あぁその手があったね。零はここの鍵2個もってたね」
頷きながらスペアキーを机に置いた。
それを見て自分の鞄からまだ開けてない水をその横に一緒に置く。
優「さて,生徒会室に帰ろうか?」
白雪くんの頭を撫でる。
サラサラの黒髪はやはりあいつらに似ている。
この子が"あの家の子"だと証明する黒は闇となってこのこを積むんだろう。
図書室の鍵を閉め廊下を歩く。
優「あの子はやっぱり"あの家の子"だね…。あの二人と似ている。見た目だけじゃなく生き方も」
誠「そうかもな…色々似てるけど1番似てんのは…」
零「何にも執着しないこと」
そんな変なところが似るのはやめて欲しいな。
でも執着をしないあいつらでも唯一執着しているものがある。
それを探し続けている。
見つかるまできっと永遠に…。
"あの家"の血筋は執着をしないのではなく,するのが怖い。1度執着をしてしまえば…それを自身が認めてしまえば強く深く執着し続けてる。
"執着という愛"が強い。
たとえ裏切られても暴力をふられても,嫌いになれない。なることが出来ない。
裏を返せばもし執着をした人間がいなくなれば負の感情の鎖が一生離れない。とることなんて不可能。
きっとその事を無意識に理解し執着を避けている。
頑丈な絶対に壊れない鎖を自分に巻き付け鍵をかける。外れないように。
鍵は壊して…。
本当に厄介だ。
━━家の血筋は…。
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