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文化発表会当日7
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俊樹side
先に行った2人の後ろ姿を眺める。
要「お前,遥のこと好きなのかよ」
俊樹「別に…好きだがどちらかと言うと弟を見ているようだ」
少し先の方で柊とじゃれている遥を見る。
そこらの女より顔も整っていて確かに可愛いと思う。
俊樹「安心しろ,俺はお前のライバルではない」
要「別に俺は…」
俊樹「…俺だって1時期悩んだぐらいだ。あいつは人を惹きつける…」
見た目だけじゃないんだ。
あいつは…遥は人のことをよく見ている。
口先だけの綺麗事を言う奴らとは違う。自分の言葉にちゃんと責任を持っている。
だからたった1日のうちの数十分しか関わらなかった後輩3人も惹かれたんだ。
入学当初から悪い噂がずっとあいつに付きまとっていた。そのせいであいつを避けているものの方が多かった。クラスでも…。
けれど今回のことがきっかけでクラスの奴らは遥の魅力に気がついた。
優しく暖かな性格。
その笑顔は儚く,男心をくすぐる。
本人は意識してやってはいない一つ一つの仕草。
それはとても華やかで美しい。
俊樹「あいつを知った奴は大概惹かれる。その人柄に…。もちろん全員じゃないがな。惹かれるのは別に恋情だけではないかならな」
劇が開幕し遥が舞台へと上がる。
練習通りに進んでいく。
柊「僕は人柄に惹かれたかな?一見なんの問題もないように見えてとても危うい…守ってあげたくなる」
いつの間にか帰ってきていた柊がいつもの人懐っこい笑顔ではなく大人びた笑顔でそう言う。
ほんとつくづく思う。こいつの素はこっちなのだ。
いつもこうしておけばまだましなのに…。
俊樹「この話は辞めだ,白雪姫よりでかい小人も似非王子もさっさとどっか行け」
だいたい小人がなんで白雪姫よりでかいんだ。
1個も笑わない王子なんてなにがいいんだ。
グチグチ言いながらだか舞台端へと行った。
1人で機材や道具を手入れしながら舞台を盗み見る。
俺も出れば良かったかな…なんて考えてしまう。
俺たち3人にもあだ名が着いている。
宮崎と筒井は"騎士"。後輩3人は"番犬"。
俺たち3人は"お供"だそうだ。
よく考えるものだとある意味感心する。
舞台を見ていたらふと遥と目が合った。
そうすればバレない程度に演技ではなくいつもの笑顔を俺に向けた。
あの時は何も知らなかったんだ。
儚げに笑っている裏で真っ赤に染まりながら苦しんでいる遥の姿に…。
目の前にある創りものの幸せを本物だと思っていた。
最初から全てが演技だなんて思ってもみなかった。
この学園という名の舞台の上で何も知らなかった俺たちは楽しく踊っていた。それが遥の作ってくれた偽物だと知らずに。
この白い個室の白いベットの上で眠る遥は白雪姫のようで。けれど誰も起こすことは出来ない。
"騎士"も"番犬"も"お供"も。
たとえここに"王子"がいたとしても。
ただ神な願うことしか出来ないんだ。改めて思い知らされる…自分たちの無力さに。
なぁ起きてくれ…。
ちゃんと謝らせてくれ…。
そしてお前もちゃんと説明してくれ…黙ってた本当の意味を。お前の気持ちを。
大好きなんだお前のことが…。
友として俺たちはもう一度やり直そう。
ずっとお前の帰りを待っている。
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