アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
消えない灯
-
どんなに頑張っても周りからの評価は「事務所の力」って声は無くならない。
今の事務所に居る限り、ついて回る妬みや嫉妬。
若い頃から波に溺れないようにやってきたからこそ、色んなモノが見えていつの日か闇の中に居る気分になっていた。
その中に照らし出された光が名瀬だった。
「俺は俺だから」
そう言って笑う名瀬は、目を逸らしたいくらいに眩しい。
周りの評価より自分がやりたい事をやる。
そんな名瀬だからこそ、こんなに面倒な俺にも声をかけてくれたんだろうけど。
名瀬が暗闇から出してくれてないと、俺はどうなってたのかな...。
名瀬の存在しない未来は、今はもう考えられない。
PV収録が朝方までかかり、予定外にオフとなった。
一人で寝るのも寂しいし、少しでも逢えたら...と、自分の家には帰らず名瀬の部屋へ行く。
なるべく音を立てないように寝室へ行き、ベッドへ潜り込んだ。
「...こ...う、ちゃん?」
まだ夢見心地な声。
でも無意識に抱き寄せられた。
「おやすみ...」
名瀬の腕の温もりと声に導かれて、そのまま眠りに落ちる。
目が覚めたのは、お昼すぎ。
名瀬はとっくに仕事に行ってるようだ。
帰りは夜だとテーブルの上に書置きがあった。
軽く食事を済ませてから、リビングのソファーに寝転ぶ。
このまま惰眠を貪ろうかとも思ったが、次のソロアルバムに向けて作曲をしようと思い自分の家へ向かう。
ー夜までに戻ったらいいよな
自分が集中すると時間を気にしないこと分かってた。
遠慮がちなノック音に驚いて顔をあげる。
名瀬が仕事から帰ってきていた。
「...ごめん、曲作ってたんだよね」
申し訳なさそうに言う名瀬を手招きして、近付いてきたらキスをする。
「俺こそごめん。夜にはそっち行く予定やったんやけど、時間忘れてた」
「ソロ曲?」
「うん。...聴く?」
俺の誘いに嬉しそうに頷いた。
「...洸ちゃんの曲好きだなぁ」
「俺は名瀬の好きやで。聴いてると温かい気持ちになる」
名瀬の性格を現すような明るく優しい曲。
目を瞑り、聴き入る名瀬を見ていると、ふと視線が交わる。
その瞳に吸い寄せられるように顔が近付いて、キス。
「ん...」
気持ちよくて深くなっていく口付け。
ーこれ以上はヤバい
理性を失う前にストップをかけた。
「洸ちゃん...?」
名残惜しそうに離れる唇。
「ごめん。どうしても1箇所変えたい場所があって...」
「洸ちゃんらしいや」
俺の我儘を笑って許してくれた。
夕食作って待ってるって部屋を出る。
一息ついて、作業を始めた。
香辛料のいい匂いがしてきた頃、作業の手を止める。
名瀬お得意のカレー。
...と言っても、レパートリーが少ないだけだけど。
「いい匂い。何か手伝おうか?」
部屋から出て声をかける。
お皿にご飯をよそっていた名瀬は、目線だけチラリとコチラに向けた。
「終わった?今から呼ぼうと思ってたから、丁度よかった」
座っててと皿を運びながら促される。
名瀬の言葉に甘えて座らせてもらった。
カレーとサラダと言うシンプルな夕食。
「いただきます」
お昼が軽かったからか、ぺろりと食べてしまいオカワリを要求する。
珍しいなんて言いながらも嬉しそう。
食事が終わり、リビングでゆっくりと過ごす。
それぞれ今後の仕事の予定を話して、また逢えない時間が増えることを知る。
「充電させて?」
俺の言葉に、どちらからともなく身体を重ねて、それでも足らなくて...。
溶けるほど甘い空気に溺れそうになる。
伸ばした手に絡みつく名瀬の手。
オトコの顔した名瀬に組み敷かれて喘いだ。
リビングでの情事を終え、風呂場に移動する。
シャワーを浴びて身体を洗っていると、名瀬の手が伸びてきた。
「...ぁ、も、ダメやって」
敏感になっている肌は、少しの愛撫でも感じてしまう。
ダメと言いながらも下半身のソレはすっかりその気で、そそり立っている。
「嘘つき...」
耳元で囁かれる、その言葉でさえ気持ちよくて身体が震える。
泡のついた手で身体中を触られた。
「あ...とも...」
我慢できなくて名前を呼ぶと同時に、挿入される。
柔らかくなっているソコは、拒むことなく名瀬の侵入を許してのみこんだ。
壁に手を付き快感に耐えていたが、我慢できなくて足がガクガク震えてきた。
崩れ落ちそうになる俺を抱きかかえる。
身長差で身体が浮き、深く繋がりその衝撃に勝手に白濁が出た。
「気持ち、いい?...感じてる洸ちゃん、可愛い」
「ぁ...あ...!」
何も考えられなくなっていく。
快感に身を任せ、名瀬の事だけを想う。
「...っ!洸ちゃん!!」
「ぅあ、あぁぁぁっ!」
二人同時に果てる。
暫く抱き合いその余韻を感じた。
感じすぎて力の入らない俺を、嬉しそうに介抱する名瀬。
体を拭きバスローブを着せられて寝室まで運ばれた。
「充電」と言うには激しすぎる時間だった。
でも愛をいっぱい受け入れて、これ以上ないくらい幸せを感じてる。
また明日から仕事を頑張ろう。
翌日の写真撮影でシャツを半分脱ぎ、背中越しに振り返る...と言うショットを撮ろうとしてスタッフがザワついた。
「洸介さん、ちょっとそれは、やばいかもです」
不思議に思って「何が?」と聞けば、背中にキスマークがあるって...。
ー名瀬ぇ!!
「いや、それ虫刺されやから」
あくまでも冷静に答えると、ざわめきが落ち着いた。
ジャケ写撮るって伝えてたから、絶対にわざと付けたのだろう。
名瀬のニヤニヤ笑う顔が思い浮かんだ。
シャツを羽織ったままのカットに変更され、無事撮影は終了する。
今度会ったら怒鳴ってやろうと心に決めた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
14 / 44