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Tomorrow Again
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俺たちは想像してるほど大人じゃなくて。
きっと戸惑うほどに子供じみている。
いくら手を伸ばしても未来は掴めないから、手に入れたいと藻掻くのかもしれない。
ー明日になれば
そんな希望はいつまでも叶わない。
珍しく二人一緒にとれた連休。
家でゆっくり...と思ってた俺の目の前に見慣れない鍵を見せびらかす名瀬の姿。
「なんの鍵?」
「明日のお楽しみ。朝早く迎えにくるね」
そう言って自分の家に帰っていった。
一緒に寝ないんだ...と寂しく思ったが、明日逢えるならまぁいいかな。
7時に目覚ましをかけて眠りについた。
目覚ましが鳴る前に目が覚めて、どれだけ楽しみにしてるんだとひとりごちた。
リビングで名瀬を待ってると、すぐに顔を出した。
その手には旅行バック。
「...どこ行くんや?」
「まだ内緒。取り敢えず泊まりの用意して」
言われてバックに荷物を詰め込む。
用意ができると、名瀬の後について家を出た。
いつもの地下駐車場では無く、マンションから少し離れた場所に停めている車を見た瞬間。
「嘘やろ...?」
そんな言葉しか出て来なかった。
そこに合ったのは大きなキャンピングカー。
「マネージャーの名前で借りてもらった。これでどっか行こ?」
トイレや水も数日分は持つ状態らしく、必要なのは食事とお風呂くらい。
食事は予約しとけば個室が取れるとこもあるだろうし、お風呂も温泉の家族風呂がある。
他人の目をあまり気にしない旅行が出来るなんて、夢みたいだ。
お互い帽子を深くかぶり、サングラスもつけた。
車ですれ違うくらいでは顔はバレないだろう。
車の外に出る時はマスクもつけたら、騒がれる事はない...と思う。
「格好はアレやけど、楽しみやな」
「どこに行こうか?」
「取り敢えず...関東は出たい!」
考えた末、富士山見ようと静岡に向かうことに決めた。
高速にのり、何気ない会話をしながらのドライブ。
途中のSAでは、人に見つからないように念の為一人ずつトイレ休憩した。
今の所騒ぎにはなってないからよかった。
静岡について、まずは富士山が綺麗に見えるとこへ。
観光客が多かった為、車から降りずに見る。
「綺麗やなぁ」
「何度も見てるけど、こうやってゆっくり見る事は無かったかも」
外からは見えない位置で手を繋ぐ。
流石に肩を寄せることはできないけど、それでもこうやって名瀬と居られる事が幸せ。
「後...行く?」
名瀬からのお誘い。
リア席に移動すると、本当に家の様な空間で驚く。
小窓はあるが、人から見られることは無いような位置だった。
家では無い場所で、二人だけの空間。
そんな奇跡みたいな場所があるなんて、思ってもみなかった。
「音は漏れるから、今ここでエッチはできないけどね」
「...あほな事言わんでええねん!」
それでもちょっとキスしたり、抱きしめあったりして、普段外ではできないことを楽しんだ。
夕食を食べてから向かったのはキャンプ場。
シーズン外だからか、当日連絡で予約がとれた。
キャンプ場内に家族風呂のある温泉もあるから、そこの予約もついでにとった。
俺たちの名前だと色々まずいので、マネージャーの名前で。
「こんな風に泊まりで出かける事ができるやなんて、思わへんかった」
「だよね。たまたま番組でキャンピングカーの話がでてさ、洸ちゃんとのデートに使えるんじゃない?って思って」
すぐに行動できるとこが名瀬らしい。
宿と違い周りに誰も居ないし、全く気を使わなくてもいいところが最高に良い環境だ。
静かな森の中に、今居るのは俺たち二人だけ。
キャンピングカーに用意されていたテーブルとイスを車の横に設置して、珈琲を飲みながら星を見る。
ふと名瀬の方を見ると、視線が交わる。
「...好き、やで」
普段なら自分からは言わないような言葉が、自然と出てくる。
「俺も、好きだよ」
熱い口付け。
暗闇にその音だけが響いた。
気持ちよくて、止まらなくなる。
だが、不意に離れる唇。
「あ...」
不満気な声が漏れてしまった。
目の前には苦笑いの名瀬。
「嬉しいけど、温泉の時間。...続きは後で」
名瀬の言葉に顔が赤くなるのが分かった。
家族風呂は露天だった。
管理人が居るってことで、流石にお風呂ではせず、ゆっくりと疲れを癒す。
満天の星が降ってきそうなくらい、綺麗な夜空。
都会では見ることのできない景色。
冷たい空気が、火照った身体に心地よかった。
キャンピングカーに戻ると、待ちきれなかったかのように名瀬からキス。
それを合図に二人身体を重ねる。
何度も絶頂をむかえ、何回目かの情事で意識をとばし、眠りに落ちた。
満ち足りた夜。
こんなにも幸せでいいんだろうか?
未来のことは分からないけど、許される限りアナタと共に過ごしたい。
願う気持ちはいつも同じ。
翌日ゆっくりしてからキャンプ場を後にした。
ドライブして、人気の少ないとこで二人ぶらつく。
あっという間に休日は終わってしまったが、充実した休みだった。
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