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愛の言葉【BF】
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朝方。
ベルとフランは任務が終わり、アジトに向かっている途中だった。
まだ朝の澄んだ匂いがする空気の中、隊服を着た二人が歩く。
先を歩いていたベルがフランに振り返って声をかける。
「カエル、疲れたんじゃねーの?」
「はあ?何言ってんですかーミーは堕王子と違ってあれくらいの任務で疲れたりしませんよー」
・・・だけど、
実際フランは先ほどの任務で脚をくじいていて、とても歩ける状態じゃなかった。
が、ベルに知られたくないという思いから、無理やり歩いていた。
だけど、明らかにフランの歩くペースは遅い。
気付かれたのではないかとフランはドキッとした。
「王子は疲れたなんて一言も言ってねーだろ。お前が疲れたんじゃねーかって聞いてんだよ!つか堕王子って言うなクソガエル!!」
「ゲロッ!」
ドスッという音を立ててベルのナイフがフランの頭のカエルの被り物に刺さる。
「あー痛・・・人間として最悪の人種ですねー・・・あ、人間じゃないのかー」
「・・・てんめー・・・っ」
話しながらも足を進めていると、質素な公園に差し掛かった。
何も無い公園だけど、休むベンチくらいはある。
「少し休もーぜ」とベルが言ったのをいいように、やっぱり疲れてるのはそっちじゃないですかー、とフランがぶつぶつ言いながらも一緒のベンチに座る。
「・・・・・・なぁ、フラン」
しばらく沈黙していた二人だったが、ベルが不意に口を開く。
「何ですかー?」
「・・・お前、オレのことどう思ってんの?」
「・・・・え?」
いきなりの質問にきょとんとなるフラン。
「好き?」
その言葉に条件反射で頬が染まる。
顔に熱がたまっていく。
「な・・・んですか、急にー・・・」
顔を背けつつも赤くなっているのがわかる。
「・・・なぁ、好きなの?」
ベルとそういう仲になって、何度か聞かれた質問。
そのたびに、フランは照れ隠しで適当にはぐらかしていた。
「・・・いい加減聞かせろよ」
耳元で低くささやかれる。
「・・・っ!」
好き、なんて、恥ずかしくて言えるわけない。
それに、なんだか先に言ったら負けなような気がする。
フランが何も言わずにうつむいていると、ベルは耳元から離れ「はー」とため息をつく。
「・・・あのさ、王子とっくに気付いてるから。」
フランはその言葉にドキッとした。
「・・・気付いてるって・・・何が」
「・・・お前さ、さっきの任務で足痛めたろ。知ってるし。」
「―――・・・っ」
やっぱりバレていた・・・。
たまにこの人は本当に天才なのかと思う。
と、フランは思った。
「・・・お前、もっとオレに甘えろよ。何のためにオレがいると思ってんだよ・・・!」
いつもより真剣な顔でフランを抱きしめるベル。
「・・・心配かけさせんな・・・・」
「(・・・本当に・・・・心配してくれてたんですかー・・・)」
それにどうしようもなく嬉しくなるフラン。
「・・・です」
「・・・え?」
今だけは、
少しだけ、素直に。
「好きですー・・・ベルセンパイ」
「・・・フラン」
ベルの金糸の髪が昇りかけた朝日に光る。
そのお国ある瞳と視線が交わると、ゆっくりと二人の唇が触れる。
そしてまたゆっくりと唇が離れると、ベルがフランを一層強く抱きしめる。
「・・・愛してる。フラン」
ささやかれる、いつもより低いテノール音。
いつもなら、恥ずかしくて隙なんて言葉すら言えない。
だけど、
「ミー、も、愛してます…センパイ」
ベルはその言葉に予想外と言うように驚くが、すぐにいつものような笑みをこぼす。
「・・・フラン」
「・・・はいー」
「・・・・・愛してるよ」
愛の言葉
・・・どうか、この愛の言葉がもっと降り続きますように。
(・・・帰るか)
(・・・はいー)
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