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魚の水を得たるが如し
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「· · ·はい、お願いします。」
「よし!行こうか!」
そう言ってやっと車を走らせた。
しばらく沈黙が続くと陸さんが口を開いた。
「すごい怒ってたね。ビックリしたよ!」
俺は黙り込んで下を向いていると
「そりゃそうだよね。僕はずっと父と母の関係や家の感じも嫌いだったけど、一輝君はそれより苦労してるし、父の事恨むのも無理ないよ。」
と気を使ったのか話してきた。
「恨んでるのかもわかんなくなりました。」
俺はそうポツリと呟いた。
「え?許したってこと?」
「許してはないです。でも父も父で色々あったんだなって。母も離婚した後に父の事を悪く言わなかった。お金をいらないって母が言ったのも、愛しているからこそ言ったのかなって。」
正直そうだ。母に父の事を言っても、あの人は良い人なんだと話していた。
「そっか· · ·」と陸さんは言い、また沈黙が続いた。
「着いたよ!」
陸さんが車を止めてドアを開けた。
「うわー・・・高っ!」
そこには周りのビルよりも高いマンションがあった。
「このマンションは父のマンションで最上階に僕と弟が住んでるんだ。よかったら部屋見てみる?」
「はい」
正直こんなとこ住めるのかってウキウキしている自分がいた。副社長はパッとしなかったけど、タダでこんなとこ住めるなんてラッキーだ。
エレベーターに乗り最上階まで行くと
一つしか部屋がなかった。
「最上階はここだけなんですか?」
「そうだよ!この部屋だけでこの階全部の広さ!ここに僕と弟が住んでるんだけど、正直広すぎて部屋も余りまくってるんだ」
陸さんは笑いながら言ってドアを開けた。
「どうぞ!」
「お邪魔します· · ·」
部屋に入るとホテルと間違えるぐらい綺麗で広くて
リビングに行くと一面ガラス張りで、もう夜だったので夜景が綺麗だった。この家で部屋も余ってるってもったいなすぎる。
「すげぇ・・・」
俺は開いた口が塞がらなかった。
「よかったら座ってゆっくりしてて!夜だしお腹すいたよね?ご飯作るから一緒に食べる?それともどこか食べに行く?」
陸さんがそう言いながら荷物を置いてキッチンの方へ行った。
「陸さん料理できるんですか?食べたいです!」
最近、手作りの飯食ってないからな· · ·。外食飽きたし。
「家庭料理ぐらいだけど!何か作ったり書いたりするのが好きで皆には手先が器用って言われるんだ」
綺麗な笑顔で言われてドキッとした。
女だったらなー。
「何か手伝いますか?」
俺は陸さんの方へ行きたずねた。
「大丈夫!そこのソファーで寛いでて!映画もゲームもあるから自由にしていいよ!」
「はーい」
返事をしながらテレビをつけてソファで横になっていると、いつのまにか寝てしまっていた。
んっ・・・温かい· · ·いい匂い· · ·
何か今唇に感触が· · ·夢か· · ·?
そう思いながら薄く目を開けた。
「一輝君!起きてー!ご飯出来たよ!」
「わっ!」
びっくりして飛び起きた。
「起きた!気持ち良さそうに寝てたよ」
「すみません!いつのまにか寝てしまった」
「大丈夫!ほら、出来たから食べよ!」
「うまそー!!陸さん料理上手なんですね」
そこには美味しそうに盛り付けられたカレーがあった。
「あるもので作ったから簡単なものしか出来なかったけど、今度ちゃんと作ってあげるね」
「全然!簡単じゃないでしょこれ!」
「簡単だよー。さっ食べて!」
「いただきます・・・うまっ!!」
「本当??よかった!あんまりがっつきすぎると喉つまるよ!水も飲んで」
「すみません· · ·」
陸さんってお母さんみたい· · ·
陸さんはずっと微笑んで俺を見つめていた。
「陸さん食べないんですか?」
「食べるよ。つい食べてる姿が可愛いなぁって見とれちゃって。いただきます!」
可愛い· · ·。一気に顔が熱くなってしまった。
何照れてるんだ俺!男だぞ!
「ごちそうさまでしたー!うまかった!!」
そう言って俺は食器をシンクに持って行った。
「はーい!コーヒーでも飲む?」
陸さんはそう言ってコーヒーカップをこちらに向けた。
「はい、お願いします」
コーヒーを飲みながら陸さんと色んな話をした。
「一輝君って本当に可愛いね」
そう言いながら目を見つめられた。
「· · ·ッ?男に男を可愛いって言われても· · ·」
「照れてるよ?」
「照れてません!」
そう言うと向かいに座ってた陸さんが隣の椅子に座ってきて、俺の頬を優しく触った· · ·
「· · ·え?」
なんで隣に来たんだろう· · ·頬を触る手が温かい。
「ずっと君とこうしたかった· · ·」
ガシャーン!
持っていたコーヒーカップを落としてしまった。
· · ·力が入らないし· · ·眠くなってきた· · ·
「やっと効いてきた」
「· · ·な· · ·に?」
ボーッとして力が入らないし瞼が重くなった。
「今はゆっくり休んで· · ·」
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