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窓際の君
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最初はただの興味本位だった。
「なぁ、何でいつも外ばっか見てんの?」
「……別に、関係ないだろ」
はなしかけてもこんな感じで、チラリと俺を一瞥してまた外へと視線を戻してしまう。
俺はそんな君に初めは、内心腹を立て何だこいつは。と思ったりもしていたが、めげずにその後も何度も話しかけた。
「なーなー、何でそんなに冷たいの?ちょっとくらい俺とお話ししてよ〜」
「話すことなんか無いだろ」
「そんな事言わずにさっ、もっとこう楽しもうぜ!?」
でも、やっぱり取り合ってくれない。
「……はぁ、お前さ。何でそんなに俺に絡んで来るわけ?」
「だって、俺が陸と話したいんだもんっ」
余りにも俺がしつこく話しかけるせいか、相手はため息をつくとやっと俺の方を向いて話をしてくれた。
あぁ、やっぱり綺麗な顔してるな……
正面から見る相手の顔に思わず見惚れる。
相手の名前は北河 陸と言って、黒髪に黒縁メガネで地味な印象を与えるが、その中の素顔はイケメンだが綺麗と言った方がしっくりくる顔立ちをしている。
だけど、この事を知っているのは俺だけで他の皆は陸がこんなに綺麗だなんてこれっぽっちも気づいていない。
本人にもその自覚は無くて。
誰も知らない、俺だけが知っている秘密。
「別に、俺じゃなくてもお前ならいくらでも話し相手居るだろ。そっちにいけよ」
「俺は君と話がしたいの!」
「……だから何でだよ」
それは、君の事が好きだから。
なんて、言えるわけない。
「…そ、れは、……っとにかく!俺が話をしたいから陸に話しかけてんの!」
「……あっそ」
陸は興味なさげにそれだけ言うと、また窓の外を眺める事に戻ってしまった。
「もー、言ってるそばからまた外を見る」
陸の態度に不貞腐れたように言うが、当の本人はもう俺のことなんて気にせずにただ、空を眺める。
そんな陸の横顔を、俺はじっと見つめると初めて話しかけた時の事を思い出していた。
俺が、君を好きになったきっかけの日へ……
。
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