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先生の時間1
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昼休み、榎本先生に声をかけられた。
放課後に指導室へ来いとのお呼び出しだ。
何も問題を起こした覚えはないから、多分また頭髪のことだろう。
俺は生まれつき髪が濃い茶色で、本当は地毛登録をしなきゃいけないけどしていない。
なぜかというと、地毛登録をするにはこどもの頃の写真が必要なんだけど、俺の親は写真を全然撮らない人だから一枚もなかったんだ。
別に日本人が全員必ず真っ黒な髪をしているというわけじゃないのにね。
半分くらいは茶色い人、いると思う。
その色が濃いか薄いかはまた様々だけどさ。
この学校でだって茶髪なのは俺だけじゃないし、俺なんて全然黒い方だ。
呼び出されるたびに同じことを聞かれて同じことを答えて。
正直頭髪に関しての呼び出しは面倒以外のなんでもない。
だけどばっくれるわけにもいかないから、仕方なく放課後俺は指導室に向かった。
「失礼します…」
ガチャリと音を立ててドアを開け、中に入る。
指導室の扉だけは、相談室も兼ねているからと、他の教室みたいに引き戸ではなくて、しかも防音だ。
「ああ、松本か。そこに座ってくれ」
「…はい」
指さされた椅子に座ると、榎本先生はドアの方へ歩いて行って、鍵を閉めた。
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